しずかなアンテナ

哲学の瓦礫片のための場所。

2021-01-01から1年間の記事一覧

情報をよこせ

アメリカではどうか知らないが、神戸で悩んだ一つは「情報をよこせ」のたえまない要求であった。日本のヒエラルキーでは、ボトムアップ型の情報伝達において「情報が自分をバイパスすること」は自分の権力を無視され耐えがたいことなのであろう。情報は各レ…

就活生・新社会人必見 気をつけたいマスクマナー7選

コロナ対策の基本として、すっかり私たちの生活に溶け込んだマスク。けれども、その社会的マナーについては意外と知られていません。特に、これから社会に出る就活生や新社会人のみなさんは、マスクをめぐる礼儀作法について不安になることも多いのではない…

『風の谷のナウシカ』とは正反対の選択――『人形の国』9巻

1巻から楽しみに読んでいた弐瓶勉『人形の国』が本日発売の第9巻で完結した。8巻末尾の時点でかなり登場人物や状況が拡大していたので、最終9巻でどう畳むのかと思っていた。実際に読んでみると、やはり大急ぎでラストに突き進んでいるという印象を持つけれ…

『春と修羅』ノート(「序」その3)

わたくしといふ現象は 仮定された有機交流電燈の ひとつの青い照明です (あらゆる透明な幽霊の複合体) 風景やみんなといつしよに せはしくせはしく明滅しながら いかにもたしかにともりつづける 因果交流電燈の ひとつの青い照明です (ひかりはたもち そ…

『春と修羅』ノート(「序」つづき)

わたくしといふ現象は 仮定された有機交流電燈の ひとつの青い照明です (あらゆる透明な幽霊の複合体) 風景やみんなといつしよに せはしくせはしく明滅しながら いかにもたしかにともりつづける 因果交流電燈の ひとつの青い照明です (ひかりはたもち そ…

『春と修羅』ノート(「序」)

わたくしといふ現象は 仮定された有機交流電燈の ひとつの青い照明です (あらゆる透明な幽霊の複合体) 風景やみんなといつしよに せはしくせはしく明滅しながら いかにもたしかにともりつづける 因果交流電燈の ひとつの青い照明です (ひかりはたもち そ…

比喩が無い

数カ月ぶりに福島に来ています。帰還困難区域では家屋の解体撤去のペースが早まっているようです。当たり前のように並んでいた非日常的な光景が、原発事故から10年を過ぎて、「当たり前」でなくなっています。 説明も記述も自分には困難です。それは2つの理…

トーチカから出る

街の雰囲気が変わった。お年寄りが多い。ハイキングに行くひとや、お茶や買い物をしているひとたち。これまでできるだけ部屋から出ないようにしていたのかもしれない。見えなくなると、気づかない。じっとじっと縮こまっていた街が、ようやくようやく息を深…

論文執筆ログを付ける

先日、ある論文を書いて投稿した。この論文は10月初旬から取り掛かって、10月末日に終えた。10月7日くらいから、ふと論文の執筆過程の記録を取っておこうと思いたち、Scrapboxに簡単なログを付けるようにした。 すると、だいたい次のような過程をたどってい…

京王線放火傷害事件の動画を観察する

なんでこんなひどいことするんだろう…という慨嘆はひとまず措いて、乗客が撮影した動画が上がっていたので、その動画内部でわかるところに絞って観察・検討してみる。 まず移動中の地下鉄車内の火災であることから、以下の点が容易に想像される。 1)避難者…

あなたの町は安全です

先日、「人と防災未来センター」に神戸市内の小学生が来てくれました。「防災セミナー」と題して、30分ほどのレクチャーをさせていただきました。 これまで兵庫県には緊急事態宣言や蔓延防止措置が発令されていて、こうした校外学習の来館者は少なかったので…

『閃光のハサウェイ』第一印象

・童貞力の高さを感じる。 ・ケネス大佐は良い人っぽいかんじで登場したが後半は悪どい戦術使ったり平気で拷問したりで、自分の中では「キレイなバスク大佐」と認識した。 ・クェスがバギーを降りてシャアの元へ走るのをハサウェイの視点から追うという回想…

乗船不遑。登山難及。

『日本三代実録』巻16に、貞観地震津浪についての短い記述がある。 真っ黒な海が盛り上がって津浪が押し寄せ、内陸の数十百里も海となってしまい、その果てがわからないくらいだった… といった意味らしい。 そのなかに「乗船不遑。登山難及。溺死者千許」と…

村の名誉(北原糸子『磐梯山噴火』)

さて、さきほど紹介した碑文を写し終わって村の屋敷地へ向かう一本道を歩いていると、ちょうど途中で村の人らしい中年婦人に出会った。そこで、私は碑のことを尋ねてみた。すると、ご自身のお祖父さんが山内弁次家でひとり生き残った山内竹次さんで、当時数…

第5回黒田裕子賞を受賞しました。

人と防災未来センター研究部・資料室メンバー(木作尚子・中平遥香・高岡誠子・高原耕平)が取り組んでいた研究プロジェクト…を実施した「人と防災未来センター」が、第5回黒田裕子賞を受賞しました。 いろいろなつながりの中から生まれ育ったプロジェクトで…

あまえび

「甘エビ」という名称は、当の甘エビの立場からすると異様に残忍なものであると思う。 人間「おまえ、甘エビっていう名前なんやで…」 甘エビ「えっ…?」 人間「なんでか知りたいか? 食べたら甘いからや」 甘エビ「ギャァ!!!」 甘エビの持つ多様な存在様…

ラジオ関西「知らないけど知っている~私たちの1.17~」日本民間放送連盟優秀賞

ラジオ関西さんが今年1月17日に放送された番組「知らないけど知っている~私たちの1.17~」が、2021年日本民間放送連盟(ラジオ報道番組)で優秀賞を受賞されました。 震災後うまれの津田アナウンサーと、さらに若い長田高校放送部の生徒さんたちが、95年の…

きょうの「ひとぼう」(がまだすドーム巡回展)

「人と防災未来センター」西館1階で、「雲仙岳災害記念館がまだすドーム」巡回展が実施されています。溶岩流に曝された遺物に目を奪われました。 月並みな表現ですが、噴火災害の強烈さを想像させられます。 それにしてもこの壊れやすい遺物群を全国に運び…

イベントのお知らせ(2021/10/16 ふたば学舎)

10月16日に、神戸市長田区の「ふたば学舎」さんで、神戸の「復興」をめぐる哲学対話の場をひらきます。今年度4回予定しているシリーズの第1回となります。 お申し込みはこちらから>> 10/16復興ダイアローグ参加者募集

結婚の前後で使い始めたサービスとかモノとか

1. Scrapbox 真っ先にこれを挙げる。夫婦でそれぞれアカウントを作り、共用のプロジェクトページを設定して使用している。結婚を決めてから生じたあれこれのタスク(両家への挨拶、役所の手続き、引越……やることが、やることが、多い…!)状況を二人で共有し…

実験記録:血気盛んな男子70名を密室に閉じ込めると何が起きるのか…?!

論文を書くぞーということで過去の文献を漁っているといろいろと面白いものも出てくる。今日はその1件を紹介する。 密閉した地下室に70人の男性を閉じ込めて数時間、何が起きたのか…?!! 煽るのはこれぐらいにして真面目に紹介すると、空襲に備えた防護室…

麻婆豆腐のような世界

数年前に沖縄に行ったとき、地元の戦跡・基地ガイドの方と、国道を走るレンタカーの中で、ニューヨーク同時多発テロ以降、世界は見せかけの秩序さえ失って、ひたすらぐずぐずになったように感じる、と話した。その方も深くうなづいておられた。 9.11以前の世…

雑巾を絞る

日本の公的組織における危機管理の特徴として、危機対応業務の質・量が平時業務より大きく変化しても、平時の組織体制や仕組みを温存したまま、各対応機関の能力の余地を使い尽くすことで、その倍加する業務を捌こうとする点が見出される。要するに各機関・…

「なにものでもなかった」

オリンピックもパラリンピックも全く見ておらず、この車椅子バスケットボールの展開も記事で初めて知った。書き留めておこうと思った。 2000年シドニー大会以来のメダルを逃したことに加え、58点差での大敗。厳しい現実は、日本の選手が悲嘆に暮れることすら…

目的なき受光

眼を最初に手に入れた生物はイソギンチャクの仲間であるらしい。ただし眼と言っても哺乳類のそれのような、眼球が動きピントを合わせる超高機能なものではなく、きわめて単純な光センサーにすぎなかった。可視光線を当てられると反応して周囲の細胞に信号を…

未来の水路

いつも使っている駅が近頃天井からの漏水に悩んでいる。地下駅なので、雨が降ると地下水が浸み出すようだ。 臨時の雨樋 漏水はこの駅の老朽化によるものであろうけれど、そもそも地下鉄は常に溜まる地下水をどうしているのか。検索すると次のような回答があ…

批判と悲しみと自衛

先週のことだったか、どなたかが描いた一枚の説明文付きイラストがSNS等で広く共有された。そのイラスト中に、「誰かを批判しても悲しんでも誰も守ってはくれません。近づいてくるのはコロナだけです。」という一文があった。それを首肯するブログ記事も出さ…

まわりくどき安息

ワクチンを打たれに行った。 半日経ったが副反応がほとんど出ていない。打たれた左肩に少し違和感が残って、多少あたまがぼーっとする程度。そしてちょっと眠たい。 ワクチン接種の前に感染したらいやだなぁとおもっていた。 当初、神戸市から届いた接種券で…

書くこと

コロナウイルスの感染拡大が始まる以前の時期に書いていたものを読み返したり思い返したりしてみると、どことなく軽やかさを帯びているというのか、現実からわずかに浮いたような文章を書くことができていたのだなと気づく。そのころは、今日はすこしばかり…

道鏡代わりの山芋が折れました

日本の古典籍について全く素養が無いのだが、たまたま『古事談』(源顕兼編、伊藤玉美校訂・訳、ちくま学芸文庫)を読み始めた。 あれこれ雅なお話が詰まっているのだと思いこんで読み始めたら、第一話からシモネタで面食らった。 称徳天皇、道鏡の陰なほ不…