しずかなアンテナ

哲学の瓦礫片のための場所。

からだ

積み木を積む(主に大人が)

こどもに積み木を持ってきてくれるようサンタさんに依頼した。積み木を選んでよかったなとおもっている。ボーネルンドの製品で、サンタさん曰くすこし値が張ったがまあいいでしょう、と。 こども(9月半)はまだ積み木を積み木として遊びはしない。まずお気…

手を置く

こどもが寝ているとき、息をしてるかなとおもって背中あたりに手を置いてみる。こどもはいつもうつ伏せに寝るので、手を置くための「定位置」は背中になる。すると数秒、呼吸をしている様子がわからない。とおもうとすぐ、呼吸のちいさくて深い響きがかれの…

匍匐前進と舌

こどもが匍匐前進をするようになった。 1ヶ月半前に寝返りをするようになって以来、起きているときはほとんどうつ伏せで顔を上げた姿勢で過ごしている。ただ、そこから手足を動かして前進できるようになるまでが長かった。手足を四方にびょんと伸ばしてみた…

嫡男が突然寝返りました

当家を継ぐはずの嫡男が昨晩、突然寝返りました。しかも実の父であるわたしの眼の前で……。 突然と書きましたが、実のところ以前からその兆候はわずかに現れてもいたようでした。ただ、仮に事を起こすとしてももう少し先ではないかと思っていたのです。正妻に…

震災が始まる

ことしは震災が始まるのが早いなぁとおもう。 例年は秋の終わり頃から徐々に震災が始まって、年が開けるとより本格的になり、1月17日が終わると静かに外れる。そのサイクルがある。 単純に自分の内心のイメージとして始まる・切り替わるというより、被災地に…

指ちゅぱと時間の厚み

2週間ほどまえから、つまり2ヶ月を過ぎたころから、こどもの「手」の使い方がまた増えてきた。おおまかには以下の3種類。 (1)抱っこのときに襟や袖口をつかむ。(2)指をちゅぱちゅぱ吸う。(3)手を目の前に出し、じっと見つめる。いわゆるハンドリガ…

ロスト・ワールド、ロスト・おなか

GWいっぱいで育休を終え、連休明けから復職した。 毎日子どもと奥さんとずっといっしょにいる生活から、朝にすこし抱っこして夜帰宅するとまた抱っこして寝る生活に変わった。復職初日、帰宅して抱っこするとこどもがおどろいたような顔でわたしを見つめた。…

重力と視界

生後7週が過ぎ、縦抱っこの時間が以前よりも増えている。1ヶ月ころまではほとんど横抱っこだった。ミルクの後のげっぷとんとんの時だけ肩に担ぎ上げた。初めて担いだときは、こどもの頬や顔の熱がこちらの顔に触れて、なんとも嬉しかった。ただ、先に書いた…

サイズアウト・メモリーズ

新生児用のオムツが1パック余りそうだからもらってくれないか、と妹から連絡がきた。妹の第三子は、わたしのところの子どもの2週前に生まれた。手元の新生児用オムツは体重5kgまでである。断った。うちも、新生児用のオムツを使い切れるかギリギリのレース…

背中スイッチとダンス

「背中スイッチ」ということばがある。誰が発明したことばか知らないけれど、臨床的な強度を持ったことばだとおもう。体験に裏打ちされていて、無駄が無く、ユーモアがある。「背中スイッチ」と日々戦うひとは、この単語を見るだけでその辞書的な定義だけで…

首よ座れ

新生児は首が座っていない。知識としては知っていたけれど、実際に子育てが始まるとなんとも言いようのない驚きを指先や手首に感じている。 首が座っていないのに、首を動かそうとする。何よりこのことに驚いた。座っていないなら安静にしてくれていれば良い…

遠すぎた乳首

新生児と1ヶ月過ごしていて印象深いことの一つに、かれの身体の動きの多くが「反射」によって支配されていることがある。 上記のサイトに多くの「原始反射」が載っている。このうち、「手掌把握反射」「モロー反射」「口唇吸啜反射」は、日常の育児のなかで…

不安と安心

こどもの表情や雰囲気を観察している。 生後2週くらいまで、大きく分けると「不快」「不安」「無」の3種類の表情を見せていた。「不快」は空腹時やお腹が張っているときなど、「不安」はベッドにひとりで寝かされて親が見当たらないときなど。 不快と不安の…

目的なき受光

眼を最初に手に入れた生物はイソギンチャクの仲間であるらしい。ただし眼と言っても哺乳類のそれのような、眼球が動きピントを合わせる超高機能なものではなく、きわめて単純な光センサーにすぎなかった。可視光線を当てられると反応して周囲の細胞に信号を…

まわりくどき安息

ワクチンを打たれに行った。 半日経ったが副反応がほとんど出ていない。打たれた左肩に少し違和感が残って、多少あたまがぼーっとする程度。そしてちょっと眠たい。 ワクチン接種の前に感染したらいやだなぁとおもっていた。 当初、神戸市から届いた接種券で…

死と災害

雨が降っている。これからさらにどれだけ降るのか、降らないのか、大きな災害につながるのか、つながらないのか、わからない。何事にもならなければよいとおもう。 しかし一方で、明日から/来週から/今月にかけて、何らかの気象現象があり、そして何らかの…

「ワクチンを打つ」

オカン「市長がワクチン打ってる」ってそりゃ市長もワクチン打つやろ…って見たら"医師免許持ってる市長が市職員に"ワクチン打ってた…つよい — 唐辛子 (@mantoogarako) 2021年7月1日 日本語ややこしい。 「うちの父はワクチン打ってきたよ」「ぼくはまだワク…

見えないからだ

じぶんのからだはどこにあるのだろう、とおもう。 からだはまさにここにある。見えていて、感覚があり、わたしが移動するとき・居座るとき、眠っているとき、わたしが存在しているところにわたしのからだがある。だから大雑把な座標としては、大雑把な物体と…

乳母がいて女官は死ぬ

高校のときだったと思うが、国語の古典の授業中にこんなことを先生に言われたのを覚えている。曰く、「女のひとって授乳期間中は月経が止まるのね、だからその間は妊娠しない。でも赤ちゃんを乳母に預けたら授乳しなくなるから月経が再開して、セックスした…

宮地尚子『トラウマにふれる 心的外傷の身体論的転回』(新刊ご恵投いただきました)

精神科医・医療人類学者の宮地尚子先生より、新刊書『トラウマにふれる』をご恵投いただきました。 ことばからからだへ、からだから性へ、性から社会へ、社会からひとへ、ひとからまた、ことばへ。そのような転回というか、「動き」をずっとたもった本である…

書くことについて

文字とは元来、神秘をその凹凸や形状そのものにおいて凄烈に現す場であるか、もしくは呪いの意図がいったん滞留する場である。卜占においては文字は書き手なく現れる。呪いにおいては文字は読み手なく刻まれる。いずれの場合も、文字は激しい恐怖や畏怖の感…

伊藤野枝と電車内の記述 その2 大正時代の痴漢

『伊藤野枝集』を読んでいたら、もう一箇所、電車内についての記述が出てきたので書き抜いておく。 私はよくこみ合う電車の中などで、こみ合うのをいい幸にして、わざと身体をすりよせて来たりする不都合者に時々出遭います。そんな場合には、どうも表立って…

伊藤野枝『乞食の名誉』における電車内の記述

少し前、電車でどこかに「行く」という表現は奇妙だと書いた。そのとき、夏目漱石の小説『坑夫』に、歩いていた主人公が途中で汽車に乗るシーンが出てくるということを、記憶のまま書いた。 その後、電車の車内の書き方ということに少し関心を持っていた。 …

特別な皮

世の中には膨大なる種類の皮がある。 皮は剥いたり、めくれたり、はがれたり、余ったり、傷ついたりする。 他の言語ではわからないけれど、日本語の「かわ」はすべての「かわ」を意味していて、その範囲は広い。桃の皮も大根の皮もスイカの皮も皮である。動…

柔らかい現実と硬い現実

自然災害と戦災を同列に扱うことができるか否か、ということを先週書いた。このときわたしは、復興という観点では同列視できない部分があるという立場をとった。 しかし、個々人の体験という観点においては、自然災害と戦災は共通する部分があるとおもってい…

いま読んでいるもの:金井淑子『倫理学とフェミニズム』(2013)

いつのまにか本棚に入っていた本を読んでいる。一節だけメモする。 倫理学とフェミニズム―ジェンダー、身体、他者をめぐるジレンマ 作者: 金井淑子 出版社/メーカー: ナカニシヤ出版 発売日: 2013/06 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る 私…

支援と「別世界感」(『セックスワーク・スタディーズ』)

セックスワーク・スタディーズ 作者: SWASH 出版社/メーカー: 日本評論社 発売日: 2018/09/26 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 指導教員が勧めていたので読んでみた。あ、これは読んでおいてよかったなと思った。同じテーマにくくることはでき…

からだが触る

今はもう昔のことになってしまったけれど、学部生のとき、全盲の学生と共に授業に出て板書内容をノートPCに打ち込んでゆくという有償ボランティアをしたことがあった。授業後、その学生が白杖で足元を探りながら教壇上の老教授のもとに近づいた。そのとき、…

読書の声のスピード感

本を読んでいるとき、頭の中で「音声」を再生するように読むのか、それともそうした音声抜きに読むのかという違いがある。これは個人差があるらしい。 わたしの場合は、読書体験の8割ほどは前者の「音声」型だが、読んでいるうちにいつのまにか音声が抜けて…

アメリカで中絶が違法・道徳的悪となった経緯

州によるが、現代アメリカでは人工妊娠中絶に強い制約が課されている。Pro-choice(女性による選択に賛成=中絶の権利に賛成)派と、Pro-life(胎児の生命を守ることに賛成=中絶に反対)派の論争はアメリカ社会を二分するものだというイメージがある。中絶…