しずかなアンテナ

哲学の瓦礫片のための場所。

研究

熱海では避難者へのメディア接触管理ができているのか

熱海の土砂災害では、安否不明者の家族・知人に対するインタビュー記事が被害規模に比してかなり多いのでは、と感じている。 現在の安否不明者は20名前後。その近親者や知人の絶対数は100名規模になるだろう。報道を拾うと、こうしたひとびとのナマの声がか…

共著書が出版されました:ほんまなほ監修・中川真責任編集『アートミーツケア叢書3 受容と回復のアート 魂の描く旅の風景』生活書院、2021年

アートミーツケア学会が出す叢書の第3巻です。じぶんは「「だから」と「それから」 K復興住宅のミノルさんのこと」という文章を書きました。 この原稿を書いているときは不思議な感覚で、骨身を削り込んで苦悶しながら書いたのでも、計画的にきちっとスマー…

論文を書く前に、調査に取り掛かる前に「予備分析」をする

これは自分のやり方なのだけれど、新しい研究課題に取り掛かり始めたり、論文の構想を作り始めたり、調査計画を立てたりするとき、問題の「予備分析」をすることにしている。 日本語で「予備」というと「スペアパーツ」みたいなニュアンスが強いけれど、ここ…

論文が公開されました

高原耕平「情報アプローチと生活アプローチ -減災システム社会はどこへ行くのか-」『災害情報』19(1), pp.23-34, 2021. http://www.jasdis.gr.jp/_src/707/19-half.pdf?v=1615204386327 2年前、現在の職場(人と防災未来センター)で災害対応マネジメント…

学会で発表賞をいただきました

先週土曜日の災害情報学会・若手研究発表大会で会長賞をいただきました。 発表題目は以下です。 高原耕平「判断は実在するのか 避難研究の多角化のために」 聴講、コメントいただいた皆様、これまで研究活動を支えてくださった皆様にお礼申し上げます。津波…

兵庫県庁の抜き打ち防災訓練

大震災から2周年目にあたる平成9年1月14日、兵庫県は初めての完全抜き打ちの防災訓練をしました。(中略) この訓練では、訓練の関係者、関係機関には、「1月10日から30日までの間で姫路市内を訓練会場として抜き打ち訓練を実施する」ことだけを事前に伝え、…

江戸時代の被災者生活再建支援法

『武江年表』によると、焼失した町屋に対する下賜金の支給額は間口一間(182センチ)当たり金3両1分と銀6匁8分であった。匁に換算すると、一間あたり169匁3分(約34万円)になる。これだけの額の下賜金の支給は、江戸の復興を大いに後押ししたはずである。 …

室戸台風は当初「室戸台風」と呼ばれていなかった

それでは、なぜ室戸台風は室戸台風なのか。 (…)中央気象台は『気象要覧』第421号(9月分・10月末発行)を出した。これが、われらの室戸台風を、まさしく〈室戸台風〉と名付けた最初の文献となるのである。(…) ところで、こうしたせっかく室戸台風と呼ば…

同期が本を出しました(宮前良平『復興のための記憶論』大阪大学出版会、2021)

大学院時代の同期(研究科も研究室も違いますが)が博論を出版しました。 岩手県野田村での津波被災写真の返却会をずっと追ってきた若手研究者の最初の一冊です。 年明け1月8日発刊で、絶賛予約中です。ぜひお買い求めのうえ、感想・ご批評を著者までお届…

論文が公開されました

災害復興学会に投稿していた論文が公開されました。 査読無しではありますが、自分で書きたいものを書いたという実感がある論文です。 お気に入りの一本です。 高原耕平、山村紀香「オルタナティブ遺構論 小さな遺構と出来事への近づき方」、日本災害復興学…

共著論文が地域安全学会の論文奨励賞を受賞しました

共著者として参加した地域安全学会の論文が学会の論文奨励賞を受賞しました。 藤原 宏之,佐藤 史弥,松川 杏寧,寅屋敷 哲也,高原耕平,竹之内 健. 「災害マネジメント総括支援員等が執る災害対応プロセスの分析」『地域安全学会論文集』37, pp.327-338, 2…

自分の書いたものにきづく

近日の発表で過去のスライドを1枚くらい再利用しようかなーと思い、昨年の復興学会で自分が発表したときのPPTを見直すといろいろと面白いことを書いていてちょっと驚く。 去年の自分はこんなことを考えていたのか… やるやん… というか発表したんやったらマジ…

講演します

10月15日「震災対策技術展大阪」D会場 グランフロント大阪(北館地下2階) 高原耕平「待ち望む・積み重ねる・くりかえす: 東遊園地から考える技術と災害」 セミナー(会場) | 震災対策技術展 大阪

論文が採択されました

少し以前に投稿していた論文が査読通りました。 大門大朗・宮前良平・高原耕平「集合的トラウマと災害復興に関する理論的検討―カイ・エリクソン『Everything in its Path』を読み返す」日本災害復興学会論文集、次号掲載

論文が採択されました

査読が通りました。 高原耕平「0歳児が語る阪神・淡路大震災: 震災学習世代の中間記憶と世代責任」地域安全学会論文集, 37, 2020. 次回の学会秋季大会での発表となります。

宮地尚子『トラウマにふれる 心的外傷の身体論的転回』(新刊ご恵投いただきました)

精神科医・医療人類学者の宮地尚子先生より、新刊書『トラウマにふれる』をご恵投いただきました。 ことばからからだへ、からだから性へ、性から社会へ、社会からひとへ、ひとからまた、ことばへ。そのような転回というか、「動き」をずっとたもった本である…

江戸時代の「見試し」

「見試し」という方法があることを知った。現代的にいえば、フィードバックを重視した柔軟なエンジニアリング/プロジェクト管理手法、ということになるだろうか。 直接知ったのは、藤垣裕子氏の『専門知と公共性』という書籍から。少し長くなってしまうが、…

大震法の時代

「大規模地震対策特別措置法」という法律がある。大震法と略される。1978年(昭和53年)に成立した法律で、いわゆる「東海地震」の予知を前提としている。観測網が東海地震の前兆現象を捉え、学識者からなる「判定会」が東海地震の危険が迫っていると確認し…

研究用個人データベースを自作する

研究は資料を溜め込んでは編みなおす作業である。溜め込んで忘れてしまっては厚みのある研究はできない。そこでデータベースに類するものが必要になる。しかし決定版の既製品というものは無い。そこで自分でデータベースを自分で作ってみようとおもう。 1.…

東北へのチューン

先週、個人的な旅行で宮城県を歩き回って、きょうまた学会で仙台に来ている。きょうの仙台は関西に比べるとかなり涼しい。帰りたくない。先週の旅行と今日の学会ではっきりと自覚したことがある。それは、東北の「被災地」に対して自分のアンテナの周波数の…

絶句

昼間、このエントリを拝読して言葉を失った。 自分自身が授業料減免制度を利用してきたし、後輩たちもおそらく利用しているからだ。 じぶんは大阪大学で院生をしていた5年間、前期課程2年間と後期課程1年目は半額免除、後期課程の2-3年目は全額免除していた…

伊勢湾台風記録映画を観なおしてみる

現代の視点から見ていると、いろいろな発見があっておもしろい。 いくつか挙げてみる。 服もけっこうラフ 名古屋市災害対策本部の記者会見の様子。ロウソクが使われている。 遺体安置所の様子。安置所というか、露天にそのまま並べられている。生存者が家族…

防空と防災

古い国会議事録をネットで漁っていたら面白い表現が出てきたのでメモしておく。 ○林田正治君 只今上程になりました特別都市計畫法案委員會の審議の經過竝に結果に付て御報告申上げます、尚ほ其の詳細は速記録に讓ることに致したいと存じます、本案の委員會は…

けっきょく避難勧告・指示とは何なんだろう

今般の豪雨で、しばしば「避難情報を待たずに自分で判断して避難を」というメッセージが発せられた。しかしそうすると、避難勧告や避難指示とは何なのだろう。 避難勧告の発信が高い可能性で予測されている。その勧告は受信者に避難という行為を促す。ところ…

フィールドノーツを書くのはむずかしい

研究会の発表原稿を書いていて、そのために1-2年前のフィールドノーツを読み返している。フィールドノーツとは現場調査で自分が見聞きしたことをまとめたもので、研究の基礎資料となる。その場で起きていたこと、交わした会話、発見したことなどをノート…

避難勧告・指示は必要か

豪雨シーズンが近づいている。 雨量が増えると、避難準備・避難勧告・避難指示が市町村から市民に向けて発令される。市民はそれに応じて、もしくはそうした警報を待たずに避難することが理想とされている。 第六十条 災害が発生し、又は発生するおそれがある…

柔らかい現実と硬い現実

自然災害と戦災を同列に扱うことができるか否か、ということを先週書いた。このときわたしは、復興という観点では同列視できない部分があるという立場をとった。 しかし、個々人の体験という観点においては、自然災害と戦災は共通する部分があるとおもってい…

戦災と天災

『月刊社会科教育』という小中学校の社会科の先生を対象とした雑誌が、2011年8月号で「”災害の歴史”と人類の叡智」という特集を組んでいる。東日本大震災の直後の時期であり、社会科教育で災害をどのように扱うかがテーマとされている。 その中に、谷和樹氏…

黒田裕子は二人いる

看護業界で著名な「黒田裕子」さんが同姓同名の2名おられると今先輩から教えていただいて衝撃を受けている。 おひとりは、阪神・淡路大震災で災害看護の分野を切り拓いた黒田裕子さん。2014年に亡くなられた。 おひとりは、北里大学看護学部教授の黒田裕子さ…

防災教育に関する研究はどれくらいのペースで増えてきたのか

Ciniiで「防災教育」で検索し、論文の発刊年次ごとに数を出してみた。 ざっくりグラフにするとこんなかんじ。 査読論文も紀要論文も学会発表も分けずにカウントしている。 また、微妙に重複があるはずだが、おおまかなトレンドを知りたいだけなので除去して…