しずかなアンテナ

哲学の瓦礫片のための場所。

しゃがみこむこども

小さなこどもとおかあさんが街中で二人きりでいるのを見ると、すこし胸がきゅううとくるまれるような、不安なような、表現しがたい気持ちをおぼえる。 それは二人で買い物に行くとか保育園の送り迎えのような場面ではあまり感じない。具体的な目的や予定のな…

とにかく「死」が近い

とにかく「死」が近い。間近にある。毎日、どうしようもなくそのことを感じて、考えている。 こどもの首がしっかり座りはじめ、体重が生まれたときの倍以上になってやっと少し安心したのは、これでちょっとは「持つ」だろうということだった。 もしわたしと…

嫡男が突然寝返りました

当家を継ぐはずの嫡男が昨晩、突然寝返りました。しかも実の父であるわたしの眼の前で……。 突然と書きましたが、実のところ以前からその兆候はわずかに現れてもいたようでした。ただ、仮に事を起こすとしてももう少し先ではないかと思っていたのです。正妻に…

応用哲学会第14回大会の印象

久しぶりに応用哲学会の大会に参加した。参加といっても発表はせず、完全オンライン大会の聴講のみだったけれども、久しぶりの哲学系の大会でのびのびした。以下、印象というか雑感のメモ。 発表者がみんなぼそぼそ喋っている。司会もぼそぼそ。質問者もぼそ…

震災が始まる

ことしは震災が始まるのが早いなぁとおもう。 例年は秋の終わり頃から徐々に震災が始まって、年が開けるとより本格的になり、1月17日が終わると静かに外れる。そのサイクルがある。 単純に自分の内心のイメージとして始まる・切り替わるというより、被災地に…

論文がパブリッシュされていました(「避難と科学」『災害情報』20-1)

気づいていなかったのですが、『災害情報』掲載の査読論文がいつのまにか公開されていました。 高原耕平「避難と科学:偶然性と必然性を織り込む物語的研究の可能性」『災害情報』No. 20-1, pp.183-196, 2022. (当該巻号全体のPDFに飛びます) http://www.j…

うつぶせ寝はダメです

がらがらファミちゃん SIDについて検索した日の夜、クッション布団の上に置かれたファミちゃんを見て「うつぶせ寝させたらあかん!しかもやわらかい布団!!」と焦った。 寝不足のようです…。 ファミちゃんご尊顔 (ファミリアの揺らすと鈴の音が鳴るガラガ…

指ちゅぱと時間の厚み

2週間ほどまえから、つまり2ヶ月を過ぎたころから、こどもの「手」の使い方がまた増えてきた。おおまかには以下の3種類。 (1)抱っこのときに襟や袖口をつかむ。(2)指をちゅぱちゅぱ吸う。(3)手を目の前に出し、じっと見つめる。いわゆるハンドリガ…

ロスト・ワールド、ロスト・おなか

GWいっぱいで育休を終え、連休明けから復職した。 毎日子どもと奥さんとずっといっしょにいる生活から、朝にすこし抱っこして夜帰宅するとまた抱っこして寝る生活に変わった。復職初日、帰宅して抱っこするとこどもがおどろいたような顔でわたしを見つめた。…

「非常勤講師」の経歴詐称

この事件、「盛る」のは良くないのだけれども、「盛ってしまう」感覚もややわからないでもない。なので、「経歴詐称」という表現はちょっと過剰かなともおもう。 「非常勤講師」の経歴を持つと自称しうるパターンはおおむね以下のものがある。 1)ある学期…

ただふにらふにらぱたぱたしている

こどもと接していると、しあわせとはいったい何であろうなぁと素朴に疑問をおぼえる。 わたし自身は、こどもと接していることはたしかに幸福を感じる。それはたとえば、腕の中でこどもがまどろみつつあったり、体重の増加を確認したり、哺乳瓶のミルクが空に…

重力と視界

生後7週が過ぎ、縦抱っこの時間が以前よりも増えている。1ヶ月ころまではほとんど横抱っこだった。ミルクの後のげっぷとんとんの時だけ肩に担ぎ上げた。初めて担いだときは、こどもの頬や顔の熱がこちらの顔に触れて、なんとも嬉しかった。ただ、先に書いた…

色分けされてゆく世界

おおまかにロシア側/ウクライナ・NATO側という区別で塗り分けてみた。 先日話題になった「感謝動画」にはエジプトも含まれているらしいが、エジプトからウクライナにどういった支援が実施されているのかよくわからなかったので色は付けていない。 東西陣営…

サイズアウト・メモリーズ

新生児用のオムツが1パック余りそうだからもらってくれないか、と妹から連絡がきた。妹の第三子は、わたしのところの子どもの2週前に生まれた。手元の新生児用オムツは体重5kgまでである。断った。うちも、新生児用のオムツを使い切れるかギリギリのレース…

背中スイッチとダンス

「背中スイッチ」ということばがある。誰が発明したことばか知らないけれど、臨床的な強度を持ったことばだとおもう。体験に裏打ちされていて、無駄が無く、ユーモアがある。「背中スイッチ」と日々戦うひとは、この単語を見るだけでその辞書的な定義だけで…

首よ座れ

新生児は首が座っていない。知識としては知っていたけれど、実際に子育てが始まるとなんとも言いようのない驚きを指先や手首に感じている。 首が座っていないのに、首を動かそうとする。何よりこのことに驚いた。座っていないなら安静にしてくれていれば良い…

遠すぎた乳首

新生児と1ヶ月過ごしていて印象深いことの一つに、かれの身体の動きの多くが「反射」によって支配されていることがある。 上記のサイトに多くの「原始反射」が載っている。このうち、「手掌把握反射」「モロー反射」「口唇吸啜反射」は、日常の育児のなかで…

そのとき何歳? 災害・年齢相関早見表

大学で講義するとき、受講する大学生が何歳のときに各災害が起きたかわからなくなってくる。たとえば、今年20才の大学2回生だと、東日本大震災のとき9才。 この「当時何歳だったか」という感覚は、災害伝承を考える際にも重要であると思う。 というわけで、…

父親であろうとすることの「簡単さ」

こどもが産まれた日、じぶんは父親になったんだな、良い父親でありたいな、とおもった。ただ同時に、父親であろうとすることはとてもラクで、スムーズで、簡単なのだな、とも気づいた。この「簡単さ」はあやういと思った。 「父親であること」を「父親として…

不安と安心

こどもの表情や雰囲気を観察している。 生後2週くらいまで、大きく分けると「不快」「不安」「無」の3種類の表情を見せていた。「不快」は空腹時やお腹が張っているときなど、「不安」はベッドにひとりで寝かされて親が見当たらないときなど。 不快と不安の…

論文が公開されました…「場所と物語のあいだ:「石巻アーカイブ」の地域活動における写真の〈ここ〉性」

2年前から取り組んでいた調査研究の成果が、地域安全学会電子ジャーナルの査読論文として公開されました。 地域安全学会 » 地域安全学会論文集NO.40(電子ジャーナル論文) 論文本体PDFは以下から読めます。 https://isss.jp.net/isss-site/wp-content/uploa…

3人のこども

こどもがうまれた。先週の日曜日に妻の陣痛が始まり、月曜日にうまれて、おととい産院を退院した。妻とこどもとわたしで自宅のドアを開けるとき、「おかえり」なのか「いらっしゃい」なのか、どっちだろうと迷った。どちらでもなくて、重なっている。いらっ…

ダブルブラインド査読とシングルブラインド査読

目次 目次 簡単な定義 論点 個人的所見① プレプリントサーバーとブラインド方式 個人的所見② 学会規模とブラインド方式 個人的所見③ 査読の意味 拾った記事など。 簡単な定義 論文著者と査読者がお互いの名前を知らないまま査読が行われるのを「ダブルブライ…

ありえた原罪

『タコピーの原罪』を読んだ。 タルるートくんやラムちゃんも、最初に出会う人間が違っていたらタコピーと同じ運命をたどっていたのかもしれないな、とおもった。 タコピーがしずかちゃんと出会ったのが不幸だったかどうかはまだわからない。これからの物語…

ステッキをついて出勤する

おばあちゃんが亡くなった。おばあちゃんと言っても家系図上では「祖母」ではなく、「母方の祖父の兄の妻」というむしろ遠い関係である。ただ、おばあちゃんと言えばこのおばあちゃんだった。わたしの家系は女性が多く、以前かぞえてみたら(故人含めて)15…

湯婆婆すごいな

湯婆婆はすごい。エライ。 危機の予兆を誰よりも早くキャッチする(「なにかイヤなものが入り込んだね…」) 危機管理案件の要所を自らその場で把握し、適切な指示と道具を従業員に提供する(「トゲのようなもの…? 千、これをお使い!」) 大型案件では社内…

情報をよこせ

アメリカではどうか知らないが、神戸で悩んだ一つは「情報をよこせ」のたえまない要求であった。日本のヒエラルキーでは、ボトムアップ型の情報伝達において「情報が自分をバイパスすること」は自分の権力を無視され耐えがたいことなのであろう。情報は各レ…

就活生・新社会人必見 気をつけたいマスクマナー7選

コロナ対策の基本として、すっかり私たちの生活に溶け込んだマスク。けれども、その社会的マナーについては意外と知られていません。特に、これから社会に出る就活生や新社会人のみなさんは、マスクをめぐる礼儀作法について不安になることも多いのではない…

『風の谷のナウシカ』とは正反対の選択――『人形の国』9巻

1巻から楽しみに読んでいた弐瓶勉『人形の国』が本日発売の第9巻で完結した。8巻末尾の時点でかなり登場人物や状況が拡大していたので、最終9巻でどう畳むのかと思っていた。実際に読んでみると、やはり大急ぎでラストに突き進んでいるという印象を持つけれ…

『春と修羅』ノート(「序」その3)

わたくしといふ現象は 仮定された有機交流電燈の ひとつの青い照明です (あらゆる透明な幽霊の複合体) 風景やみんなといつしよに せはしくせはしく明滅しながら いかにもたしかにともりつづける 因果交流電燈の ひとつの青い照明です (ひかりはたもち そ…