しずかなアンテナ

哲学の瓦礫片のための場所。

2022-01-01から1年間の記事一覧

上顎を鳴らす

9月半になったこどもは、かなり早い時期から、面白いもの・興味深いもの・好奇心を刺激するものを目にしたり手に取ると(かれの場合、この2つはほとんど同じであり、さらに「唇と舌でしゃぶってみる」がたいてい付け加わる)、独特の声を出す。それは上顎と…

列車とお客様との接触

新快速に乗っていたら西明石駅で「列車とお客様が接触」したので大阪止まりになると車内放送があった。 「接触」とは不思議な表現で、字義どおりに受け取るなら駅の乗客と列車がふっと触れ合うくらいで何の傷も受けていないようにも聞こえる。 しかし実際に…

手を置く

こどもが寝ているとき、息をしてるかなとおもって背中あたりに手を置いてみる。こどもはいつもうつ伏せに寝るので、手を置くための「定位置」は背中になる。すると数秒、呼吸をしている様子がわからない。とおもうとすぐ、呼吸のちいさくて深い響きがかれの…

そこに無ければ無いですね

こども(7ヶ月半)はスマホが好きだ。写真や動画を撮られるのも、スマホをつかんで角を舐めるのも好きだ。目の届く範囲にスマホを見つけると猛ダッシュ匍匐前進で捕獲しに来る。 レンズなどを舐められると困るので、親としてはスマホを隠す。即座に枕の下に…

こどもがおどろく

こどもが2週間ほど前から、ときたま、ものごとに「驚く」様子を見せるようになった。 部屋の外でカラスが鳴いているとき、すこし体を縮めながら首を回して部屋の壁をそわそわ眺めていた。こどもはカラスを見た経験がゼロではないが、部屋の外にカラスがいる…

長田区まちあるき(復興ダイアローグ2nd#2)

9/25(日)に、「復興ダイアローグ」のワークショップのひとつとして神戸市長田区の路上観察に参加しました。スタヂオ・カタリストの松原永季さんに教えていただきました。そのとき撮った写真を掲載します。 真ん中の物置の上に並んでいる多肉植物がかわいい…

「安倍氏の国葬、どう考える?」:地元紙・神戸新聞からインタビューを受けました。

地元の神戸新聞さんからインタビュー取材を受け、その内容が記事になりました。 「国葬」は自分の研究テーマの中心ではないのですが、本来の研究テーマである災害の追悼と国葬の違いなどを、取材いただいた田中記者と議論しながらお話させていただきました。…

『力の指輪』雑感

ゲーム・オブ・スローンズは面白かったんだな、と改めて感じた。 本『力の指輪』とGoTは、『西遊記』と『鎌倉殿の13人』ぐらい違う作品のはずなのだけれど、なぜかGoTを思い出してしまう。寄せているんだろうなという感覚を持つ。言い換えれば本作は「指輪物…

旧世代インターフェイス教育

先日、常用しているPITAPAが自分の小さなミスで一時的に使用不可能になった。PITAPAで地下鉄に乗ることができず、券売機でごく普通に切符を買って乗車し、改札口に切符を入れて駅を出た。 駅の券売機で硬貨で切符を買うのは何年ぶりだろうか。10年ぐらいは記…

「んま」と「ぷっぷっぷ」

スウェーデンボルグという神秘家は天国と地獄を見てきたという。天国の住民たちは「天使語」で会話し、地獄の住民たちは永遠とお互いに口論をしているのだという。なおスウェーデンボルグによれば、地獄には希望者が行くという制度であるらしい。 こどもが生…

そこにおった誰か

露宇の戦争が始まった当初、現地からの映像をできるだけ見ないようにしていたのだけれど、1週間ほどでそれをあきらめた。完全に見ないままでいることもやはり無理だと理解した。そして最初に見たのが、たしかキエフ近郊の湖上をNOE飛行しているロシア軍のヘ…

復興学会ウェブサイトにコラムを寄稿しました

「電信柱をくぐる:「災害の記憶」のオルタナティブ」 https://f-gakkai.net/lessons-and-learned/2878/ 写真データをご提供いただいた「コープこうべ」様に改めて御礼申し上げます。

「大和です」

2chモノのコピペの一つに、海自隊員の結婚式に参席していた新郎のお爺さんが旧海軍出身だったというものがある。十数行のコピペ文章だが語り方が上手い。海軍時代に乗っていた船をお爺さんに聞くと「大和です」と答えが帰ってきて、出席していた海自関係者全…

そして小鳥のように(『原爆の子(上)』岩波文庫)

このようなおそろしい戦争は大きらいです。どうぞ、日本中の、世界中のみなさま、もう決して戦争をしないで、平和に手をとり合って進みましょう。 そして小鳥のように楽しくくらして行きましょう。 げんしばくだんは、作らない方がよいと思います。 (平田重…

匍匐前進と舌

こどもが匍匐前進をするようになった。 1ヶ月半前に寝返りをするようになって以来、起きているときはほとんどうつ伏せで顔を上げた姿勢で過ごしている。ただ、そこから手足を動かして前進できるようになるまでが長かった。手足を四方にびょんと伸ばしてみた…

犬が死ぬ

犬が死ぬだろうから顔を見に来いと妹からLINEがあった。犬は14歳である。3週間前に家族3人で犬を見に実家に戻ったときは、まだよたよたとソファに登ったり歩き回ったりしていた。わたしがこどもを膝に載せていたら、犬はこどもの足の裏をぺろぺろとなめた。…

しゃがみこむこども

小さなこどもとおかあさんが街中で二人きりでいるのを見ると、すこし胸がきゅううとくるまれるような、不安なような、表現しがたい気持ちをおぼえる。 それは二人で買い物に行くとか保育園の送り迎えのような場面ではあまり感じない。具体的な目的や予定のな…

とにかく「死」が近い

とにかく「死」が近い。間近にある。毎日、どうしようもなくそのことを感じて、考えている。 こどもの首がしっかり座りはじめ、体重が生まれたときの倍以上になってやっと少し安心したのは、これでちょっとは「持つ」だろうということだった。 もしわたしと…

嫡男が突然寝返りました

当家を継ぐはずの嫡男が昨晩、突然寝返りました。しかも実の父であるわたしの眼の前で……。 突然と書きましたが、実のところ以前からその兆候はわずかに現れてもいたようでした。ただ、仮に事を起こすとしてももう少し先ではないかと思っていたのです。正妻に…

応用哲学会第14回大会の印象

久しぶりに応用哲学会の大会に参加した。参加といっても発表はせず、完全オンライン大会の聴講のみだったけれども、久しぶりの哲学系の大会でのびのびした。以下、印象というか雑感のメモ。 発表者がみんなぼそぼそ喋っている。司会もぼそぼそ。質問者もぼそ…

震災が始まる

ことしは震災が始まるのが早いなぁとおもう。 例年は秋の終わり頃から徐々に震災が始まって、年が開けるとより本格的になり、1月17日が終わると静かに外れる。そのサイクルがある。 単純に自分の内心のイメージとして始まる・切り替わるというより、被災地に…

論文がパブリッシュされていました(「避難と科学」『災害情報』20-1)

気づいていなかったのですが、『災害情報』掲載の査読論文がいつのまにか公開されていました。 高原耕平「避難と科学:偶然性と必然性を織り込む物語的研究の可能性」『災害情報』No. 20-1, pp.183-196, 2022. (当該巻号全体のPDFに飛びます) http://www.j…

うつぶせ寝はダメです

がらがらファミちゃん SIDについて検索した日の夜、クッション布団の上に置かれたファミちゃんを見て「うつぶせ寝させたらあかん!しかもやわらかい布団!!」と焦った。 寝不足のようです…。 ファミちゃんご尊顔 (ファミリアの揺らすと鈴の音が鳴るガラガ…

指ちゅぱと時間の厚み

2週間ほどまえから、つまり2ヶ月を過ぎたころから、こどもの「手」の使い方がまた増えてきた。おおまかには以下の3種類。 (1)抱っこのときに襟や袖口をつかむ。(2)指をちゅぱちゅぱ吸う。(3)手を目の前に出し、じっと見つめる。いわゆるハンドリガ…

ロスト・ワールド、ロスト・おなか

GWいっぱいで育休を終え、連休明けから復職した。 毎日子どもと奥さんとずっといっしょにいる生活から、朝にすこし抱っこして夜帰宅するとまた抱っこして寝る生活に変わった。復職初日、帰宅して抱っこするとこどもがおどろいたような顔でわたしを見つめた。…

「非常勤講師」の経歴詐称

この事件、「盛る」のは良くないのだけれども、「盛ってしまう」感覚もややわからないでもない。なので、「経歴詐称」という表現はちょっと過剰かなともおもう。 「非常勤講師」の経歴を持つと自称しうるパターンはおおむね以下のものがある。 1)ある学期…

ただふにらふにらぱたぱたしている

こどもと接していると、しあわせとはいったい何であろうなぁと素朴に疑問をおぼえる。 わたし自身は、こどもと接していることはたしかに幸福を感じる。それはたとえば、腕の中でこどもがまどろみつつあったり、体重の増加を確認したり、哺乳瓶のミルクが空に…

重力と視界

生後7週が過ぎ、縦抱っこの時間が以前よりも増えている。1ヶ月ころまではほとんど横抱っこだった。ミルクの後のげっぷとんとんの時だけ肩に担ぎ上げた。初めて担いだときは、こどもの頬や顔の熱がこちらの顔に触れて、なんとも嬉しかった。ただ、先に書いた…

色分けされてゆく世界

おおまかにロシア側/ウクライナ・NATO側という区別で塗り分けてみた。 先日話題になった「感謝動画」にはエジプトも含まれているらしいが、エジプトからウクライナにどういった支援が実施されているのかよくわからなかったので色は付けていない。 東西陣営…

サイズアウト・メモリーズ

新生児用のオムツが1パック余りそうだからもらってくれないか、と妹から連絡がきた。妹の第三子は、わたしのところの子どもの2週前に生まれた。手元の新生児用オムツは体重5kgまでである。断った。うちも、新生児用のオムツを使い切れるかギリギリのレース…