福島でのインタビュー調査のために「ひたち」に乗ると、車内販売が復活していた。ちょっと前は車内販売はありませんと駅のホームにも大書していた記憶がある。近年は新幹線からもずんずん消えているのでありがたい。コーヒーが熱いのが好き。
ところが今日の車内販売の売り子さんはカートを押して歩くのがわずかに速い。なにか買おうかな、と横目でカートの側面を見るともう2つ先の座席へ進んでいる。すたすたと歩いてゆく。何度かカートは来たが、そのたびに買い逃した。
普段の車内販売の売り子さんは独特の、絶妙な速度で歩いていたのだなと気づく。すたすたではない。かといって牛歩では車内を巡回できない。声を掛けようかなという逡巡から挙手までのわずかな時間のあいだだけは十分に視界内にいるという速度。車内販売がゆったり動いていると、それにつられて旅の速度もスローにしよう、なにか注文しようかという気分になるのかもしれない。遅すぎても速すぎてもいけない車内販売の巡航速度がある。練習が必要なのだろう。