しずかなアンテナ

哲学の瓦礫片のための場所。

論文執筆ログを付ける

先日、ある論文を書いて投稿した。この論文は10月初旬から取り掛かって、10月末日に終えた。10月7日くらいから、ふと論文の執筆過程の記録を取っておこうと思いたち、Scrapboxに簡単なログを付けるようにした。

すると、だいたい次のような過程をたどっていることがわかった。

 

最初の1週間:下調べやアイデアメモを作りながら、全体の大雑把な構成(章立て)を作る。

次の10日間:下書きをごりごり書いてゆく。

次の数日間:もういちど全体の再構成をする。考えが整理できた部分と、まだ煮詰められていない部分の区別がはっきりし始める。

終盤の10日間:すでに書いた下書き部分のブラッシュアップと、残り部分の下書きを並行して進めてゆく。画像転載の使用許諾を原著者から得る。

最後の数日間:最終決戦の内容が見えてくるので、書く。

 

文章執筆を指南する文章の多くは、本文を書く前にアウトラインを作れとアドバイスする。それは正しいと思うけれども、自分は最初から最後までのアウトラインを完成させてから下書き、推敲とすすめることができない。アウトラインよりもさらにおおざっぱな章立ては作るが、おおまかなところで下書きを始めてしまう。そのため、途中で何度か再構成の作業が入る。

再構成作業によって、これまでに書けた部分と、この論文で本当に突き詰めたかった部分の分離ができてくる。下書きをある程度すすめなければ、この整理ができない。だからアウトラインを最初に完成させるということが難しい。書きながら考える、ということが楽しいのだろう。アウトラインを作りすぎると、書くことと考えることが分離しすぎてしまうのかもしれない。

 

執筆ログを読み直して、最序盤にはけっこう無駄なことをしてたかもなとも思った(そこまで重要ではない登場人物の経歴を調べていたり…)。だが、そうした無駄な作業や調べ物はアタマを徐々に作ってゆくという意味合いもあったのかもしれない。