しずかなアンテナ

哲学の瓦礫片のための場所。

研究用個人データベースを自作する

研究は資料を溜め込んでは編みなおす作業である。溜め込んで忘れてしまっては厚みのある研究はできない。そこでデータベースに類するものが必要になる。しかし決定版の既製品というものは無い。そこで自分でデータベースを自分で作ってみようとおもう。

 

1.過去の失敗(学部~前期課程時代)

書籍を読みっぱなしでは研究にならないことは理解していた。読んだものや考えたことについて何らかの記録を行い、それを再参照することが必要であると。

古典だが、まず影響されたのは以下の2冊である。わかりやすいやつだ。

知的生産の技術 (岩波新書)

知的生産の技術 (岩波新書)

 
論文作法─調査・研究・執筆の技術と手順─ (教養諸学シリーズ)

論文作法─調査・研究・執筆の技術と手順─ (教養諸学シリーズ)

 

 この2冊を読んで、とりあえず京大式カードに読書メモや思いつきを書き込んでファイルするわけだ。

コレクト 情報カード B6 京大式 C-602

コレクト 情報カード B6 京大式 C-602

 

だが、この方式は2ヶ月ぐらいで挫折した。理由はいくつかあった。

1)量が急に増えすぎた。読んだものや思いつきを片っ端からカードにしたら、200枚くらいになった。このペースで増加したらコントロールできないと思えた。すると、カードを増やす気持ちが急激に失せた。

2)人前でカードを出すのが妙に恥ずかしかった。若かったのだろう。「できる人」がやればカッコいいに違いないが、できない自分がかっこつけてやると余計にダサいはずだと思った。カッコいいとか悪いとかそういう問題ではないはずなのだが。

3)書いた内容が面白くない。カードを見返しても、そこから生産的なものが生まれるようにはどうしても思えなかった。

要するに経験やセンスが無かったのだろう。何を書いたら良いかわからないままカードの数だけ増やすから、ふやけたカード束だけが積み上がる。システム以前に「たいしたこと書いてない」のだ。そしてまた、PCの検索性を捨ててまで手書きカードにこだわる理由も見いだせなかった。

 

同じ時期、普通のノートやモレスキンやらにこまごま書き込むこともしていた。ノートに書き詰めるのは、思考が集中する実感があった。ただし、ノートを使い終わると検索がほぼできなくなる。この頃はやったモレスキン活用術系のサイトでは、一冊使い終わったら冒頭ページに目次を書き込めなどという悠長な「テク」が紹介されていた。あまりに面倒だし、目次を作っても結局再参照しなかった。個人の志向にもよるが、自分にとってノートは記録と思考の中間媒体だった。目次を作ってそのまま「紙DB化」するのは合わなかった。

とはいえ、この時期の試行錯誤は無駄ではなかったとも思う。システムの形式を模索する過程で、システムの中身に書き込む質を上げてゆかねば意味が無いと気づくことになったし、いま振り返ればその練習を少しずつ続けていた。

 

2)後期課程~現在の環境

上記の時期のもうひとつの失敗は、システムを一つに絞り込もうとしすぎたことだった。既成システムを使い分ければ十分に実用になることに気づいた。

たとえば、いま使っている(頼っている)DBは以下のようになる。

文献管理…Mendelay

自分の論文 …CiniiおよびWord手打ち(元は学振DCの申請書に書いたもの)、原稿はDropboxに整理

その他業績あれこれ…Researchmapおよびエクセル手打ち

フィールド・ノーツ…Wordとエクセル手打ちで管理

 

文献管理をMendelayに一本化したのは大きかった。使いやすいソフトとは言い難いが、それでも自分のリストには1300本ほど論文が登録されており、ざっと検索・再参照するのには役立つ。知り合いに「ああいう論文なかったっけ」と言われたとき、さくっと調べてPDFを送るといったことも簡単にできる。

ただ、全てをMendelayで管理することは不可能だ。新たに必要なものが出てきたら、他の外部サービスやソフトを使うこととして割り切った。これでだいぶ楽になった。

 

3.抜書DBを作ろう(本題)

前置きが長くなった。Mendelayと公的サイトとWordとエクセルを使い分けることでまずまず管理できているのだけれど、一つだけ解決していないものがある。読んだ文献の抜書である。本を読んでいるとき、自分の研究に使えそうな部分や、面白いと思った部分に付箋を貼ったり、鉛筆で印を付ける。だが忘れてしまうので、ノートに書き抜いておく。だがやはり、ノートを使い終わると抜書の存在も忘れてしまう。

Wordやテキストに打ち込んでファイル化しても同じことで、いつのまにかDropboxディレクトリの奥に死蔵されてしまう。そうして結局、論文を書く段階になると、記憶に頼ってノートを探し、また本を探しなおすはめになる。ある程度最近の文献しか覚えていない。

Endnoteは文献にメモを紐付けて記録できる(Mendelayにも類似機能がある)が、 あくまで文献情報とPDFが主体で、抜書やそれについての自分のコメントをうまく入れることができるか不安がある。ちょっと違うだろうな、という勘がある。

 

Tap Formsという簡易DBソフトを使い始めたが、いまひとつ閲覧性に欠けるために使うのを止めてしまった。最近ではEvernoteが流行りだが、試行して数日で止めた。京大式カードと同じ末路を予想した。Onenoteも大量のノートを入れ込むには不安を感じる。

けっきょく自分でゼロから作るほかないと思い、じゃあAccessFilemakerか、という選択肢になっている。(長くなったのでいったん打ち切ります)