しずかなアンテナ

哲学の瓦礫片のための場所。

熱海では避難者へのメディア接触管理ができているのか

 熱海の土砂災害では、安否不明者の家族・知人に対するインタビュー記事が被害規模に比してかなり多いのでは、と感じている。

 現在の安否不明者は20名前後。その近親者や知人の絶対数は100名規模になるだろう。報道を拾うと、こうしたひとびとのナマの声がかなり出てきている。

 量的なエビデンスを示すことはできないが、こうした直接の当事者の数と、報道に現れるインタビューの数の比率が、他の災害と比べて今回は大きいように思う。ようするに他の災害事例よりも今回は取材者が当事者に密にコンタクトしているのではないか。

 メディアの立場ではこれは「良い」ことだろう。また、取材を受けるか否かは当人の判断であって、被災者・被災地の実情を広く知らせるために進んで取材に応じるひともいるかもしれない。

 しかし被災者へのコンタクトの敷居が下がっているのであれば、メディアと被災者の間で適切な「距離感」が保たれているかどうかは一つの問題であると思う。「取材を受けても良い場合はこのゾーンに、それ以外は被災者にコンタクトしない」という接触管理が、避難所や一時滞在施設では必要である。それができていないのでは、と危惧している。