しずかなアンテナ

哲学の瓦礫片のための場所。

2021-01-01から1年間の記事一覧

Japan Anthropology Workshopで活動が紹介されています

JAWS:Japan Anthrolology Workshopのウェブサイトに、石巻市のフィールドワークの様子を紹介する記事が掲載されました。 東北大学災害科学国際研究所の定池祐季先生、ゲルスタ・ユリア先生、および石巻市に住み着いている在野研究者奥堀亜紀子さんと高原が…

戦史叢書(43)ミッドウェー海戦

このように各種の条件が変化してきたが、わが海軍は依然として邀撃作戦一本槍で進み、ひたすら艦隊決戦に勝つことを目差して精進を続けてきたのである。/この各種条件の変化により、わが海軍が期待している艦隊戦闘が果たして生起するか、その艦隊戦闘で戦…

なんとなく判断が変わる

午前と午後に別々の出張予定が入った。 朝、まず家を出てJRに乗って長田区に移動し、打ち合わせ。そのあと、新神戸駅へそのまま移動する。 午後以降の予定は泊まりになる。荷詰めは済んでいる。だが、家を出るとき「なにか忘れ物をしているな」という直感が…

チェーン・アギ論

久しぶりに逆襲のシャアを観ている。 ところでわたしはトミノ宇宙世紀の各作品のテーマについて、1stは「戦争と生存」、Zは「女と男」、逆襲のシャアは「死と命」として規定できるのではないかと考えている。 この各テーマは後のものが前のものを包摂してい…

死と災害

雨が降っている。これからさらにどれだけ降るのか、降らないのか、大きな災害につながるのか、つながらないのか、わからない。何事にもならなければよいとおもう。 しかし一方で、明日から/来週から/今月にかけて、何らかの気象現象があり、そして何らかの…

熱海では避難者へのメディア接触管理ができているのか

熱海の土砂災害では、安否不明者の家族・知人に対するインタビュー記事が被害規模に比してかなり多いのでは、と感じている。 現在の安否不明者は20名前後。その近親者や知人の絶対数は100名規模になるだろう。報道を拾うと、こうしたひとびとのナマの声がか…

「ワクチンを打つ」

オカン「市長がワクチン打ってる」ってそりゃ市長もワクチン打つやろ…って見たら"医師免許持ってる市長が市職員に"ワクチン打ってた…つよい — 唐辛子 (@mantoogarako) 2021年7月1日 日本語ややこしい。 「うちの父はワクチン打ってきたよ」「ぼくはまだワク…

ワクチン接種計画崩壊の原因を推測する

昨日あたりから、各市町村の接種計画が崩れ始めているようだ。 神戸市では59才以下の第1回接種予約を完全延期し、受付済みの予約分もキャンセルするという。手元に届いている接種券では、神戸市の30代は7/15から予約開始と示されているが、これも当分あとに…

「、とアウステルリッツは語った、」

「この時ゼーバルト氏が朗読したのがどの作品だったのかは正直言って覚えていない。今「アウステルリッツ」を開いて読み返すと、一瞬ゼーバルト氏の声がメランコリーをともなって耳の中に蘇ってくるが、黙読しているとその声はいつの間にか遠ざかっていき、…

金は天下を回るだけ

住民税が今月から3000円ほど増えた。 1月にお給料が3000円ほど上がったはずなので、上がった分がそのまま住民税の上昇分になったな…という、暖かな虚しさを感じている*1。 納めた住民税は神戸市と兵庫県が有効活用してくれるだろう。そこはあまり疑っていな…

共著書が出版されました:ほんまなほ監修・中川真責任編集『アートミーツケア叢書3 受容と回復のアート 魂の描く旅の風景』生活書院、2021年

アートミーツケア学会が出す叢書の第3巻です。じぶんは「「だから」と「それから」 K復興住宅のミノルさんのこと」という文章を書きました。 この原稿を書いているときは不思議な感覚で、骨身を削り込んで苦悶しながら書いたのでも、計画的にきちっとスマー…

論文を書く前に、調査に取り掛かる前に「予備分析」をする

これは自分のやり方なのだけれど、新しい研究課題に取り掛かり始めたり、論文の構想を作り始めたり、調査計画を立てたりするとき、問題の「予備分析」をすることにしている。 日本語で「予備」というと「スペアパーツ」みたいなニュアンスが強いけれど、ここ…

プロジェクトマネージャーっぽいことを初めてやっている

プロジェクトマネージャーっぽいことを生まれて初めて職場でやっている*1。 担当中のプロジェクトはまだクローズしていないが、おおむね終端が見えてきたので自分なりのふりかえりとしてこれまでの経験を言語化しておく。 どういった職場か 公的な事業を行っ…

ぶっちゃけいま災害起きたらどうなるのか

コロナヤバい。マジでヤバい。高齢者や基礎疾患持ってるひとをすぐ重症病床に送る。さらに変異株がぱこぱこ襲ってくる。若くて基礎疾患無くても重症病床に引きずり込む。対策してても感染する。 ヤバい。ヤバいのでめっちゃ医療関係者がんばってる。 自治体…

論文が公開されました

高原耕平「情報アプローチと生活アプローチ -減災システム社会はどこへ行くのか-」『災害情報』19(1), pp.23-34, 2021. http://www.jasdis.gr.jp/_src/707/19-half.pdf?v=1615204386327 2年前、現在の職場(人と防災未来センター)で災害対応マネジメント…

けっきょくムスカ

コンタクトに違和感があって一昨日から眼鏡に一時的に戻している。 思った以上に「飛行石捜索のためサツキとめいのお父さんに変装しているがそのうちバレるムスカ」みたいな風貌になって笑う。

見えないからだ

じぶんのからだはどこにあるのだろう、とおもう。 からだはまさにここにある。見えていて、感覚があり、わたしが移動するとき・居座るとき、眠っているとき、わたしが存在しているところにわたしのからだがある。だから大雑把な座標としては、大雑把な物体と…

自分なりの整理

コロナのことについて、1年あまり考えたり書いたりしてきた。予想したことが外れたり、考えを発展させたり、従来からの考えをより補強したりした。その整理をしてみる。 予測や思い込みが外れたこと: 医療崩壊は静かに起きる 「医療崩壊」はもっと強烈な、…

学会で発表賞をいただきました

先週土曜日の災害情報学会・若手研究発表大会で会長賞をいただきました。 発表題目は以下です。 高原耕平「判断は実在するのか 避難研究の多角化のために」 聴講、コメントいただいた皆様、これまで研究活動を支えてくださった皆様にお礼申し上げます。津波…

コロナがこわい

コロナがこわい。というか、どう捉えたものか、まよっている。 自分がコロナで死ぬのがこわいのだろうか。それはもちろん避けたい。避けたいが、死ぬときは死んでしまうのだろう。むしろ後遺症のほうがこわい。呼吸器の機能がひどく落ちたり、不可解な強い疲…

久しぶりの授業

非常勤講師で近隣の大学に行った。学部生相手の授業は数年ぶり。 受け持つ授業の受講生は全員2回生。 昨年はほぼすべてオンライン授業で、かれらは大学に来ての授業は実質的に今年からはじめてだと言う。 良い授業をしよう、と改めておもった。 自分にとっ…

兵庫県庁の抜き打ち防災訓練

大震災から2周年目にあたる平成9年1月14日、兵庫県は初めての完全抜き打ちの防災訓練をしました。(中略) この訓練では、訓練の関係者、関係機関には、「1月10日から30日までの間で姫路市内を訓練会場として抜き打ち訓練を実施する」ことだけを事前に伝え、…

江戸時代の被災者生活再建支援法

『武江年表』によると、焼失した町屋に対する下賜金の支給額は間口一間(182センチ)当たり金3両1分と銀6匁8分であった。匁に換算すると、一間あたり169匁3分(約34万円)になる。これだけの額の下賜金の支給は、江戸の復興を大いに後押ししたはずである。 …

お前もそこに寝ろ/謙虚な身体

赤坂 ぼくは聞き書きというのは、これがまったく初めての体験だったし、これまでにじっちゃんばっちゃんの話をまともに聞いたことがなかった。だから、いろいろ不安もあったけれども、聞き書きを始めたときには、もう裸になるしかないと覚悟を決めていました…

ザワークラウトを漬ける

3月31日の深夜にザワークラウトを作っている。 先週の土曜日に春キャベツ半個分を漬け込んだ。うまく発酵が始まったので瓶ごと実家に持っていった。先々週、母からイカナゴの佃煮を送ってもらったのでその返礼だった。神戸ではこの季節になるとイカナゴの佃…

Tochka Nisshi

今日はまるごと部屋にいた。わりと仕事をした。 コロナ禍は災害だと多くのひとが言う。そうだと思う。ただ、政府の対応に関しては、自然災害より太平洋戦争に似ているなと感じる。特段の根拠があるわけではない。なんとなく、自分の頭の中にあるアナロジーの…

共通テストでマスクをしなかったひとのこと

大学入試の共通テストでマスクを鼻にまで掛けなかったひとが逮捕されたりした。試験監督のひとにも、同じ教室にいた受験生にも、たいそう迷惑なことだったとおもう。とはいえ20年くらい経ってこのニュースを読み返したひとは、喜劇とヒステリーが入り混じっ…

危機管理が失敗するとき

じぶんは自然災害の危機管理(業界用語では「災害対応」と言う)の研究をミッションとした部署にいる。この部署は「失敗する危機管理」のコツを組織知として蓄積している。失敗のコツというのも奇妙な言い方だが、「これをすると成功する」という要素だけを…

室戸台風は当初「室戸台風」と呼ばれていなかった

それでは、なぜ室戸台風は室戸台風なのか。 (…)中央気象台は『気象要覧』第421号(9月分・10月末発行)を出した。これが、われらの室戸台風を、まさしく〈室戸台風〉と名付けた最初の文献となるのである。(…) ところで、こうしたせっかく室戸台風と呼ば…