『武江年表』によると、焼失した町屋に対する下賜金の支給額は間口一間(182センチ)当たり金3両1分と銀6匁8分であった。匁に換算すると、一間あたり169匁3分(約34万円)になる。これだけの額の下賜金の支給は、江戸の復興を大いに後押ししたはずである。
(フレデリック・クレインス、磯田道史『オランダ商館長が見た江戸の災害』講談社現代新書、pp.99-100)
最大10万人が死んだと言われる「明暦の大火」のあと、江戸幕府が焼失家屋に対し面積当たりで下賜金を支給していた、という記述。
江戸時代の長屋は一部屋2間、それが5部屋あるいは10部屋で1棟であったというから(下記リンク参照)、長屋1棟あたり340万円~680万円が家主に支給されたという換算になるだろうか。
江戸庶民の暮らし-江戸の水道(水道井戸)、江戸の水売り|江戸の外食文化資料|日本食文化の醤油を知る
現代の被災者生活再建支援法では建物全壊+新築の場合、1世帯に最大300万円が支給される。あくまで世帯単位の支給であるのでこの下賜金と単純比較はできない。ただ、被災者生活再建支援法が成立したのは1998年であるので(阪神淡路大震災では私有財産への補償はできないと大蔵省がつっぱねた)、見方によっては江戸時代の方が進んでいたと言えなくもない。