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就活生・新社会人必見 気をつけたいマスクマナー7選

コロナ対策の基本として、すっかり私たちの生活に溶け込んだマスク。けれども、その社会的マナーについては意外と知られていません。特に、これから社会に出る就活生や新社会人のみなさんは、マスクをめぐる礼儀作法について不安になることも多いのではないでしょうか。今回は、そんなマスクマナーの基本を紹介します。

 

 

1  相手と場に即したマスクを選択しましょう

 社会人生活では「序列」が大切。マスクの品質や材質もその序列に応じて選択します。かんたんに言えば、自分より目上の方(上司や先輩、取引相手)のマスクよりも格下のマスクを着用するようこころがけましょう。

 具体的には、直属部署の長が不織布マスクを着用しているなら、新入社員は布マスクを使います。上司より高性能なマスクを使うのは不遜ですね。略式の序列としては、医療用サージカルマスク>不織布マスク>布マスク、となります。

 上司や先輩がどのマスクを使っているかわからない場合もあります。そうしたときは、もっとも格下であるアベノマスクを着用して出社しましょう。これより性能の低いマスクはありませんから、上司や先輩に対して失礼にあたることはありませんので安心してください。

 

2 マスクの色には要注意!

 品質・材質と並んで覚えておきたいのはマスクの色です。マスクの色は古代日本の伝統である冠位十二階制に倣います。

 冠位十二階制は「大徳・小徳・大仁・小仁・大義・小義・大礼・小礼・大智・小智・大信・小信」に位階を分け、徳・仁・義・礼・智・信にそれぞれ紫・青・赤・黄・白・黒を当てたとされます。また、大小の区別に濃淡の区別が対応します。したがって黒のマスクはもっとも格下を表示するので無難ですが、さらにマナーをわかっているビジネスパーソンは薄黒のマスクを着用します。重役が青や赤のマスクを付けて集まる会議であなたが薄黒のマスクを着用して登場すれば、その奥ゆかしさにきっと好印象を持たれるでしょう。間違っても濃い紫色のマスクを付けて出社すべきではありません。

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小野妹子レベルなら紫マスクもアリです



3 場に応じた感染対策ファッションを!

 ここまでマスクの品質や色のマナーを学びましたが、マスクはあくまで簡略な感染対策です。日常場面ではマスクで問題ありませんが、入社式や成人式、また冠婚葬祭など改まった場面ではより正式な感染対策衣装が求められます。

 たとえば入社式や親族の(もしくは自分の)結婚式などでは、これから同僚や親族となる方々に対して決してコロナウイルスを感染させないという決意を示すために、軍用規格のガスマスクを着用して臨みます。

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昭和初期の入社式の様子。日本の伝統を守っています。

 就活生にとって気になるのが会社説明会やOB訪問。「カジュアルな服装でお越しください」と言われていたのでマスク着用で訪れたら、ライバル就活生はみんなタイベックススーツで集合していた…なんて話もよく聞きます。説明会の途中でタイベックススーツを脱ぐよう求められることもあるため、念の為スーツ・ネクタイをきちんと着込んだうえでタイベックススーツを上から着るようにしましょう。

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社会人になるための第一歩。


4 ハイブリッド会議ではどうする?

 マスクと並んでコロナ禍で日常の一部となったのがオンライン会議です。対面ではマスク着用、Zoomなどオンライン越しではマスク無しが基本であることは言うまでもありません。ここで問題になるのが、会議参加者の一定数は対面参加、一定数はオンライン参加という「ハイブリッド」形式の会議やイベント等の場合です。ハイブリッド形式ではマスクを着用すべきでしょうか、外すべきでしょうか。

 こうした状況で押さえておくべき原則は、目上の方がおられる方に合わせるということです。つまり、たとえあなたが対面会議室で参加していても、Zoom参加者の中に対面会議室の面々より目上の方がおられたら、そちらに合わせて会議室側でもマスクを外します。逆に、仮にあなたが自宅からZoomで参加していて、一人暮らしの部屋なのでマスクが要らなくても、対面会議室側にもっとも上席の方がおられたならばあなたもマスクを着用します。

 

5 マスクの付け方・外し方

 わかっているようで忘れやすいのが、TPOに合わせたマスクの付け方や外し方です。まず、片手の小指にさっとマスクの紐を掛けて着脱する様子がよく見られますが、これはマナー違反。もっとも細く小さい指である小指でマスクを扱うことで、新型コロナウイルス感染症を甘く見ているという印象を与えてしまいます。

 正式な手順は次のようになります。まず左手でマスクの左頬側を軽く押さえ、そのまま右手の親指と中指で紐を掴んで耳から外し、ついで右手で右頬を押さえて左手で左の紐を同様に外します。外したマスクを軽く二つ折りして左手で持ち、右手で袂からマスクケースをそっと取り出して静かに入れ、袂に入れ直します。

 ただし、お葬式や謝罪会見など、ネガティブな場面では上記手順の左と右を入れ替えます。お葬式で右耳から紐を外すと、ご遺族に対してきわめて非礼に当たりますのでくれぐれも気をつけてください。同様に(あまり体験することはないですが)謝罪会見中に右耳からマスクを着脱してしまったならば炎上必至です。当人や謝罪する企業・団体の社会的な死を意味するでしょう。

 

6 覚えておきたい令和のマスク仕草「マスクかしげ」

 マスクは飛沫感染対策に有効ですが、両目以外の顔を隠してしまうため表情がわかりづいらいのが難点です。せっかく感染対策を万全にして相手にお会いできたのに、表情の機微が伝わらずコミュニケーションが不全に陥ってしまったら残念ですよね。

 それを防ぐため、マスクをしていても、こちらが笑みを誘われたら片手でマスクの口元をそっとずらして口角を相手に見せ合いましょう。これは有名な江戸しぐさの「傘かしげ」に倣い、「マスクかしげ」と呼ばれます。

 

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左右対称になるようマスクをずらしましょう

7 鼻マスクにはどう対応?

 マスクは鼻と口を覆って初めて十分な効果をもたらしますが、とくに日本の中高年男性には口だけをマスクで覆う「鼻マスク」型の着用をしている方も多くおられます。鼻もきちんと覆ってほしいものですが、面と向かってそのことを指摘するのは難しい場合が多いことも現実です。では、どうすればいいのでしょうか。相手の気分を害さず、なおかつ有効な感染対策を維持することこそマナーの役割です。

 答えは簡単です。相手が鼻マスクをしていたら、自分もマスクを鼻の下までずり下げて「鼻マスク」状態にします。こうすることで、相手に合わせ、相手と同じ空気を吸うという協調的な意思表示をしつつ、あなたのマスクはこのように下がってしまっていますよと奥ゆかしく伝えることができます。相手がそれを感じ取ってマスクを鼻まで引き上げたら、自分も少し遅れて同様に引き上げましょう。この際、自分が引き上げなおすタイミングも大切です。相手に合わせて即座に引き上げてしまうと、いかにも相手の間違いを指摘・指導したという雰囲気を与えてしまうでしょう。そのため、むしろ自分が相手に気づかせていただいたという印象をもたらすよう、微妙に遅れたタイミングで引き上げるのがポイントです。

 

いかがだったでしょうか。わかっているようでわかっていなかったマナーも多かったかもしれません。以上のマナーを再度確認して、安全安心な社会を実現させましょう!