しずかなアンテナ

哲学の瓦礫片を毎日1000字くらいで書く。

マイクロフィルムを使った/記録密度と信頼感は反比例する

マイクロフィルムを初めて触った。 神戸の中央図書館で使った。神戸新聞の記事を調べる必要があった。1995年から1997年までの記事で、ネットでは検索できない。マイクロフィルムで保管されている。 フィルムのリールを映写機に取り付けて、手元のツマミでフ…

便箋に時間を吸わせる。

手紙を書いたあと、その便箋をすぐに封筒に入れて封をせず、しばらく机のうえに置いたままにしておくことがある。便箋が部屋の時間を「吸っている」ようなきぶんになる。すぐに投函しても、2日ほど間を置いてから投函しても、便箋に書いた内容には変化は無い…

白ランスロットとメル・ギブソン

高校生のころから、『タクティクスオウガ』の白ランスロットがなんで男なのにスカーフみたいなのを頭に巻いてるのかわからなかった。 (上記画像はPSP版『運命の輪』。自分がプレイしたのはPS版無印) さいきんアマゾンで『ブレイブハート』を観たら、メル・…

2才児「こえわー?」ラッシュ

2才の甥が「はたらくくるま」の本をひらく。警察、消防、工事用車両などなどがページごとに載っている。載っている車をひとつずつ指差して、「こえわー?」と聞く。「これは、『コンクリートミキサー車』」と妹(2才児の母)が答えてゆく。 全ての車につい…

「間」を獲得する甥(2歳)

10日ぶりに甥とその母(わたしの妹)と会うと、以前と違って会話に「間」ができていて、びっくりした。 具体的には、甥が妹に何か言ったあと、彼女の返答をうまく待つようになっていた。そのため、両者とも声を出していない時間が生まれている。客観的には0.2…

Ciniiは研究者を幸福にしたか

CiniiとAmazonが無い時代、院生や研究者はどうやって研究をしていたのだろう、と思う。 Ciniiは日本語論文の総合検索サイト。日本国内では、ほかにJ-STAGEや医中誌WEBやメディカルオンラインといった論文関連のサイトがある。海外にもまたいろいろある。分野…

丁々発止母子

実家に帰ると、妹と甥がいた。甥は2歳を過ぎて、「いや!」をよく言うようになっていた。お風呂に入る、いや!!おしめ換える、いや!!母親(妹)とかれの様子を見ていたが、この「いや」に対する即座の応答のキレが、すごい。祖母も「いや」に対応するのだけ…

樹木に「いま」はあるか

キャンパスの落葉樹の枝があらかた裸になって、尖った枝先を見るともう小さな芽が付いている。このまま春までじっと待機していて、そのときが来たら一斉に芽吹く。堅く詰められた火薬みたいだなと思う。その姿勢のまま春の発芽のときを今か今かと待っている…

身と身体

身体の現象学、という哲学のテーマがある。 「真理」や「存在」や「永遠」といった抽象的な概念について考えるのが哲学だと思われがちだけれど、もっと身近で、しかも身近であることがわかっていない出来事、つまりこの「身体」がわたしたちにとってどう現れ…

初代ウルトラマン第三話感想

初代『ウルトラマン』を見ていた。第三話「科特隊出撃せよ」で、電気を吸うネロンガという怪獣が出てきて発電所に現れるのだが、自分のエネルギー源のはずの電気を生産してくれている発電所を破壊していた。ネロンガは水力発電所を壊したあと別の火力発電所…

「覚え」と「記憶」

「そういえば以前ここに来たときは、バスがなかなか来なくて寒かった覚えがあるなぁ」などと言うことがある。 この場合の「覚え」は「記憶」と言い換えることもできる。 では、「覚え」と「記憶」は同じ現象だろうか。「覚え」は何かを覚えていること、その…

ゼットン戦とゼルエル戦

たまたまYoutubeで初代ウルトラマンのゼットン戦の動画を観ると、『エヴァンゲリオン』のゼルエル戦となんかそっくりやなぁ、と思った。 www.youtube.com ゼットンはウルトラマン最強の敵とされる。作中でウルトラマンはゼットンの高い攻防能力に翻弄され、…

鏡を見なければできないこと

鏡を見ながらハサミを鼻の穴に入れて鼻毛を切ろうとすると、奇妙な難しさがあった。ということを先日書いた。 そのなかで、鏡を見なければできない作業が意外と無い、ということを書いた。 ここで書いた「作業」とは、日常の作業のなかで、とくに手を使って…

鏡を見て鼻毛を切りづらい

鼻毛が伸び出しているので、鏡を見ながらハサミの先を鼻の穴に差し入れて鼻毛を切ろうとすると、すごくむずかしい。 ハサミを右手に持って、左手に持った紙を切る。これは難しくない。 ハサミを右手に持って、左手の手の甲の産毛を切る。これも、刃が肌にひ…

大学校舎の災害避難訓練がけっこう無意味っぽかった(らしい)

きのう研究室にゆくと、いまちょうど避難訓練が終わったところ、と教えられた。 文学研究科が入っている校舎(法学研究科、経済学研究科も同居)の避難訓練だったらしい。 避難訓練の手順を聞くと、かなり無意味な…というのは言い過ぎかもしれないけれど、さ…

なぜソシエはターンエーのラストでロランにキスをしたのか

アマゾンのプライムビデオで『ターンエーガンダム』が公開されていた。もう何度目かわからないけれど、劇場版(地球光/月光蝶)を通して見た。 好きなシーンがたくさんある映画だけれど、物語の最後もそのひとつだ。戦争が終わり、ひとびとはまた平和な生活…

逆再生昔話

ツイッターで、「桃太郎」の絵本を逆から読むと面白かった、という話があった。 他の昔話・童話ではどうなるか、試してみた。 1. 逆再生・浦島太郎 ある見知らぬ村におじいさんが迷い込んでいた。おじいさんの身体にまとわりついていた煙が箱に吸い込まれて…

スチール本棚を買った

いまのワンルームに引っ越して一年余、本棚無しで研究生活を送ってきた。 現在、書籍は段ボール箱などに入れて保管している。数えてみたら、引っ越し時に詰めた段ボール箱7つ、ニトリで購入した整理用の段ボール箱が大サイズ中サイズ2つずつ、計11個箱に…

土人考

「土人」が尊称・敬称になる日が来るであろうか。土人を蔑称として使うなら、その人自らは空の人、天の人であろうか。空の人は死ねば土に埋もれぬのであろうか。あるいは霊魂はパケットや電磁波となって土に決して触れぬままであろうか。 土人を土から引き剥…

「うつは『心の風邪』ではなく『脳の肝硬変』」を読んで考えたこと

うつ病は「心の風邪」とよく喩えられるけれど、むしろ「脳の肝硬変」と考えたほうが良い、というtogetterまとめを読んだ。なるほどな、と思った。 togetter.com まとめの中で指摘されていることだが、「心の風邪」という表現はもともと、「誰でもうつ病にな…

大きな蜘蛛は大きいのか

下宿の部屋に大きなクモが現れた。驚いた。 小さなクモはわりと好きだ。指先に載るようなクモが部屋の壁をそろそろと歩いているのを見ると、なぜということもなく嬉しくなる。 けれども、さっき現れたクモは、子どもの手のひらくらい大きかったので、ちょっ…

幸福な宇宙人を想像するライプニッツ

ライプニッツ『弁神論』から。少し長いですが、美しい文章だったので引用します。 古代の人々にとっては、人が住めるのはわれらの地球だけであった。それでもなお彼らは対蹠地に恐れを抱いていた。それ以外の世界は彼らにとっては光り輝く球体であったり水晶…

石巻専修大学のこと

災害復興学会という学会の大会に来た。 初めての参加だったけれども、なんだか歓迎してもらったかんじで、素直に嬉しかった。 懇親会で、会場となった石巻専修大学の前学長という方にお話を聞いた。 石巻専修大学では、2011年の震災で6名の学生を失った、と…

臍帯(へその緒)は赤ちゃんと産婦のどちらに属するのか

助産師の友人と、分娩時の臍帯(へその緒)の扱いについて話す機会があった。 臍帯を切るのだけれど、そこに含まれている血が噴き出るため、クリップのような器具で臍帯を挟んでからハサミで切るのだそうだ。 「臍帯をちょきっと切っても痛くないんですか?…

堤防に腕を突っ込んで死んだオランダの悪ガキの話

道徳と倫理の違いは何か、ということを考えたりする。 小学校のときの「道徳」の教科書に、「水が噴き出していた堤防の穴に腕を突っ込んで町が水没するのを防いだが自分は死んでしまったオランダの悪ガキ」の話があって、なぜかその物語だけよく覚えている。…

なぜ就活と卒論が切り離されているのか。

なぜ、卒論など書かねばならないのか。 大卒者を採用する企業は、学生の卒論を吟味して採用を決めればよいのに、とおもう。理工系はそういったところもあるのだろうか。少なくとも文系では聞いたことがない。現状の制度では、新卒者の内定決定は卒論執筆より…

さいきん読んだものから:花崎皋平『静かな大地』

近現代のアイヌに対するシャモ(和人)の侵略と支配の歴史を少しずつ学ぶうちにわかってきたことのひとつに、日本国家の側は、アイヌ民族への同化政策が完了したとの総括に立って、台湾の高地民族への同化政策に応用をはかっていたということがある。 戦前、…

リスニング・テストの恨み

中学・高校のころ、英語のリスニングのテストがとても苦手だった。いまも外国語の聞き取りに苦手意識があるけれど、このテストのせいではないかと半ば思っている。 当時わたしが課されたリスニング・テストは穴埋め式だった。短い文の中の一語が空欄になって…

いま読んでいる本から: 金時鐘『朝鮮と日本に生きる』

たしかに不器用な私ではありましたが、選り好みだけはしない私でした。何事につけ人一倍好奇心が働くのです。薬売りが客寄せに奇術を見せびらかしています。もう少しで卵が孵えるという口上を信じて、日がな一日ひよこが孵えるのを待ちとおした市の日があり…

昔のひとは今より頻繁に気絶していたのではないか

昔のひとは今より頻繁に気絶していたのではないか。精神医学史を読んでいると、登場する人物がやたらと「気絶」する気がする。とくに、強いショックを受けたときに気絶している。あるいは、意識がフワーとなって何かに憑依されたり、予言したりする。 「昔の…

読んでいるものから:辺見庸『不安の世紀から』角川文庫、1998年

そのとき私、非常に不思議に思いましたのは事件の当初、最初のころなのですけれども、さして大きなパニックはなかったのですね。静かな現場といってもいい。あのサリンというものがまかれた直後に現場にいた人たちはどういう意味かわからなかったわけです。…

『逆襲のシャア』注解(1)解釈の目的と方針

以下は、富野由悠季原作・脚本・監督によるアニメーション映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の注解である。分量が膨らむことが予想されるため、回を分けて書いてゆくことにする。 作品の概要と解釈の必要性 『逆襲のシャア』は『機動戦士ガンダム』シリ…

R. J. リフトン関連文献一覧

R. J. リフトン(Robert Jay Lifton, 1926-)の著作、論文、かれに関連する文献を可能な限り網羅したリストです。元は修論に使ったものですが、じぶん以外にもだれかリフトンに興味持ってくれたら嬉しいなとおもってアップしました。 もう90歳なのに、さいき…

『シン・ゴジラ』の映画評をWEBRONZAに掲載していただきました

『シン・ゴジラ』の映画評を書きました。 (上)はけさアップロードされ、(下)も明日の午前中に載る予定です。 (上)では本作の演出の特徴を、「ゴジラの不気味さ」と「政府の対応プロセスの過剰な描写」の2つにまとめています。これは、たぶんたくさんの…

本気で樹木に語りかけることは可能か

本気で樹木に語りかけるということは、可能だろうか。可能だとしたら、どんな条件がひつようだろうか。 (1) 普通、誰かに語りかけるとき、返事があることを期待している。したがって、人間が語りかける相手は人間である。多少の例外としてペットに語りか…

いま読んでる本から:『無意識の発見(上)』

メスメルが自分で書いたものを読むと、メスメルは抑鬱期に入っていた。メスメルはそもそも真理を発見することなど絶望だとして、森を歩いては樹木に語りかけている。三ヶ月もの間、言葉を一切使わずにものを考えることをやってみている。しかしゆっくりなが…

犬は「いないいないばあ」をしないという発見

実家の犬(ラブラドール)に、「いないいないばあ」をしてみた。 犬の顔が自分の目の前にある。紙で自分の顔を隠し、紙を上に引き上げて「ばあ」としてみる。すると、犬はわたしの顔の方にはたいして興味を示さず、動かした紙の方を見た。紙を横に動かしても…

電車は祖母である(1歳半視点)

甥が妹(かれの母)に連れられて実家に来るとき、電車を使う。妹によれば、甥は電車を見て「ばあば!」と言ったという。 電車に乗ると「ばあば」と「じいじ」の家に行ける。だから、かれは電車を見たとき、祖母を連想して「ばあば!」と言ったのだろう。「ば…

力とは何か

ニースで花火を見ていた群衆にトラックが突っ込み、80名近くが亡くなったという。朝、ベッドで寝転びながらスマホでニュースを追っていた。悲しいとか恐ろしいとかの「気持ち」では追いつかないような、とらえどころの無さがある。まさかそんなことが起き…

理由なき搬送の世界(1歳半視点)

きのう、甥は母親と祖母(私の妹と母)とデパートに行った。 帰りの電車のなかで甥はぐっすり寝てしまい、その間に祖母は電車を降りて神戸の家(実家)に帰り、甥と母親は大阪の自宅に帰った。 甥は、目覚めると祖母がいなくなっていたので、「ばぁば?Σ(・∀…

セミオートマチック食卓(1歳半視点)

1歳半の甥がいる。かれの食事風景を見ていると、子どもはたいへんやなとおもう。母親もたいへんだが。わたしはへらへらと見ている。 甥は食卓の皿にあれこれと手を伸ばす。基本的に欲しいものがそこにあるようなのだけれど、甥の眼の高さからは、皿の中身が…

災害と現実

現実であるはずなのに、現実として認識が徹底できないような「現実」もある。 たとえば、大災害で何千人もの人が死んだ、といった「現実」がある。 もしその災害で、わたし自身が家族を喪ったり、家・財産・職業を失ったりしたのなら、その現実は、わたしに…

グランフロント大阪というところに行った

事情があって、グランフロント大阪というところへ行った。梅田ヨドバシの裏手にある。すごくぴかぴかてらてらしていた。ガラス! ガラス! ガラス! 高い吹き抜け。 待ち合わせまで少し時間があったので、1階のカフェでホットドッグとアップルジュースを頼…

現実認識と冷静さ

現実を認識するためにもっとも手っ取り早い方法は、クールになることである。 自分が熱心に関わっていることからいったん身を引き、頭を冷やすということがある。あるいは、ひとびとがあれこれ騒いでいるものごとから距離をとって静かに見つめることがある。…

現実認識とはなにか

「現実認識」という語は、ふしぎな表現だとおもう。 認識しているなら、それは現実だろう。ところが実際には、〈認識しているだけの認識〉と、〈現実をしっかりと認識している認識〉が区別されていて、後者が現実認識と呼ばれる。 とくに、自分の身の回りの…

R. J. リフトンから見たエリー・ヴィーゼル

エリー・ヴィーゼルが死んだ。わたしが修論で扱い、いまも折にふれて思考のベースにしているリフトンが、エリー・ヴィーゼルについて自伝で少し触れている。その箇所をざっと訳してみた。 わたしの心のなかで、かれは全てのホロコースト研究と結びついている…

洗濯について、その他

パンツとか肌着とか靴下とかタオルとか、なんだかごちゃごちゃくちゃくちゃしたものをまとめて洗濯して、干して、空っぽになった洗濯機にあらためてお気に入りのシャツだけを2、3枚入れて洗濯するのが、好きであるなとおもった。水がもったいない。 わたし…

現実の隣の隣

現実とは何か、ということが、わかっているようで、わからない。 そもそも、「現実」ということばを知っているということは、「現実でないもの」との対比において現実を知っているということである。現実でないものとは、夢とか、妄想とか、理念とか、勘違い…

現実とはなにか

現実とはなにか、ということが、よくわからない。 このことを考え始めたのは、「リアル」という表現が、もっぱら映画やゲームのCGなどに使われているなーと気づいたことによる。 ふつう、現実とは、リアルなものごとであると信じられている。けれども、実際…

自殺対策、という表現があまり好きではないこと

自殺対策、という表現が、どうにも、好きではない。 「対策」と言われると、何か悪いことが起きているのでそれを解決しましょう、という合意が前提にあるよーな気がする。熱中症対策、情報漏えい対策、アトピー対策、というような。 じっさいに自殺を考えて…