しずかなアンテナ

哲学の瓦礫片のための場所。

2017-01-01から1年間の記事一覧

インテリ誌の巻頭対談はなんであんなに喋れるのか

『現代思想』とか『理想』みたいな、トップレベルの研究者が競って投稿したり、寄稿依頼が来るとすごく嬉しくなるような文系カッコイイ系雑誌があって、そういう雑誌ではたいてい特集に関連した対談録が、雑誌巻頭(あるいは2つめくらい)に掲載されている…

アメリカ退役軍人省の「PTSD脳組織バンク」プロジェクト

なんとなくググっていたら、えげつないプロジェクトのサイトを見つけたので紹介する。 www.research.va.gov 大雑把にまとめると、PTSDを抱える退役軍人から脳組織を死後検体してもらい、将来の研究のために収集保管するプロジェクト。 以下、抄訳。 「退役軍…

子羊の掴まえ方(河合隼雄編『心理療法対話』より)

「 長谷川 西洋との違いということでは、私自身、面白い経験があります。以前、ヒツジの研究をスコットランドの沖合の無人島でやっていたのですが、そこでは、子ヒツジの成長を見るために一週間おきに捕まえて体重を測るんです。その捕まえるのがなかなか難…

研究室リソースの使い方

倫理学専修or臨床哲学研究室の学部生・院生のみなさまへ(とくに卒論・修論を書かなくちゃいけない方たちへ)。 この文章では、研究に必要なさまざまな「資源」の使い方を説明します。資源とは、書籍やプリンタやカメラなどの備品、図書館の論文取り寄せシス…

stomachacheは「胃痛」ではない(?)

以下は、最近3ヶ月在米していたパートナーから教えてもらった話。外国語学部出身で、英語のよくできる人である。 あるとき胃の不快感に悩まされ、薬局で「stomacacheに効く薬をくれ」と頼んだ。欲しかったのは日本でいう「胃薬」である。しかし出されるのは…

【提言】小学校低学年における〈うんこ教育〉の必要性

なぜ、小学生は、とくに男児は、小学校のトイレで「うんこ」をすることをあれほどまで忌避するのだろうか。あれはなんだったのだ。 小学生のとき、校内でうんこをするというのは、きわめて勇気のいることだった。誰にも見つかってはならなかった。わたし自身…

ケンタッキー州「中絶を受ける妊婦に胎児の超音波画像を見せる法案」の続報

yomu.hateblo.jp 米国ケンタッキー州で、中絶手術を受ける妊婦に、胎児の超音波画像を見せ、心音を聴かせることを強制する法案が提出されたというニュースが今年のはじめにあった。 上記エントリではこの法案があまりにグロテスクだと批判をこころみたが、そ…

声が詰まる。

なぜひとは、うまく話せないことがあるのだろう。あらゆる人類が、機械音声のように、ただ情報伝達としてのコードを口から発音するだけなら、どれだけ「楽」だろうとおもう。 おもわず喉もとが硬く締め付けられて、ことばがうまく出ない。相手の相槌を待つこ…

イラク帰還米兵のはなしを聞きに行った。

豊中国際交流協会の小さなイベントに行った。 アッシュさんという名前のお兄さんが、戦地での自分の体験を話した。 アッシュさんは「イラク帰還米兵」である。高校卒業後に州兵に入隊し、計6年間、従軍した。かれはクウェートとイラクにいた。 アッシュさん…

出っ張ったところと凹んでるところ(おちんちん考)

おちんちんは出っ張っている。おまんこは凹んでいる。おちんちんというものがここまで出っ張っていなければ(哺乳類がペニスという器官を持たなければ、ということになるのだが)、人間の生き方やものの考え方というものはさまざまに変化しただろうとおもう…

東神戸病院内の「震災遺構」

狂犬病の予防接種のために東神戸病院(神戸市東灘区)に行ったら、なつかしいものを見つけた。 あまりうまく写真を撮れていないけれど、これは新規外来者が問診用紙に記入する机です。 んで、そこに置かれてた鉛筆。 これ、1995年の震災のとき、インドから救援…

震災追悼のこころみを神戸新聞に掲載してもらった

www.kobe-np.co.jp 去年の4月ころからこつこつ準備をしていた取り組みです。17日を前に、今日の朝刊で紹介していただきました。 記事内容はとても的確で、じぶんの舌足らずな説明を、紙面ではすっきりと過不足なくまとめてくださっていると感じました。ほん…

窓枠

実家で寝転んで窓から空を見ている。大阪や京都に比べると、神戸はわりと空が近い印象がある。雲の「きめ」がはっきりと見える。寒波の気流に引き込まれてゆく雲の動きに連動して、たまに部屋がふっと暗くなって、また明るくなる。東へ東へ移動してゆく。窓…

「小さなもの」がパブリッシュされたよ

雑誌『臨床哲学』18号が公刊されました。 http://www.let.osaka-u.ac.jp/clph/syuppan2_vol18.html 去年の早春から取り組んでいた「小さなもの」も載っています。 じぶんがこれまで書いたもののなかでいちばん大切なもの。とても嬉しい。 読んでもらえるとさ…

「中絶前の妊婦に胎児の画像と心音を」法案について

www.cnn.co.jp このニュースを教えてくれた方が「グロテスクの一言」と言ってくれた。わたしも同じ感想を持った。 この法律のグロテスクさ、ヤバさを多少分解してみたい。 1.心音を聴くのは妊婦だけ? 上記のニュース記事では妊婦が胎児の心音を聴く・画像…

地球型ではないけれど、アレであるもの

宇宙人はいるか、地球外生命体は存在するか。ということを探るとき、「水」の有無が大きな問題になる。太陽系のある衛星には実は水や氷が豊かに存在するとか、もっと遠い惑星からのスペクトルを調べると水の存在が確かめられるとか、天文学者はそういう探索…

ニンジャスレイヤーの記事をWEBRONZAに掲載してもらったよ

webronza.asahi.com 新年からいきなりニンジャが出てきて殺す論説だよ! Wasshoi!! 記事は上下構成になっていて、明日「下」が掲載される予定です。 今日の「上」ではツイッターでみんなで小説をライブ感覚で読むっていうのは新しいスタイルだよね(ヘッズ…

2才児の会話は脈絡が無いがテンポがある

年始ということで実家に帰ると、妹家族がいた。甥(2才半)と母親(わたしの妹)は何かずっと会話をしている。しかしその会話を聞いていると、ひとつずつのやりとりは何か意味があるけれど、全体としてはきわめて脈絡が無いことに気づく。1分のうちに3回…