トーチカ日誌。独居だからトーチカというよりはタコツボだろうか。
プリンタのトナーを入れ替えると、キューに溜まっていた「ゴミの日カレンダー」PDFが印刷された。いまのところゴミ収集に遅れは無い。しかし三週間後はどうだろうか。改めて、じぶんの生活はさまざまなひとびとのさまざまな仕事の網目で成り立っていたのだとかんがえる。不要不急の外出やタスクというものはあっても、不要不急の仕事というものは無い。昨今流行りの「転売屋」みたいなのは例外かもしれないけれど。
産業や商業や物流や行政サービスの社会的な網目に対するダメージの連鎖が予測しづらいのは今般の災厄の大きな特徴のひとつだろうとおもう。次に何が来るか読めないし、対策の焦点が絞りづらい。たとえば2年前の北海道胆振東部地震では道内で大規模停電が発生した。これは数箇所の発電所の被害による電圧変動が道内の送電網全体に波及したもので、被害を受けていない地域にも停電が広がることになった。この現象はおそらく一般のひとびとにとって想定外のことだった。けれども、電力会社や専門家はす被害が連鎖したプロセスをすぐに特定できた。だから応急対応も比較的すぐにできたし、大規模停電に至ったプロセスを説明されれば市民の側も非常用発電機やモバイルバッテリーの常備といった仕方でそれなりの対策を思いつくことができた。
ところが今回の場合、たとえば地震動で発電所・変電所施設が直接被害を受けるのではなく、そこで働いている「ひと」がじわじわやられてゆくので、連鎖の発生と影響が予測しづらい。発電所の従業員がまとめて発症するかもしれないし、新幹線の運行司令室がクラスターになるかもしれないし、ゴミ焼却所かもしれないし、石油タンカーの乗組員や、大手配送会社のトラックの整備工場かもしれない。
新幹線の運行司令室であれば、仮にそこで働くひとが陽性になっても(これを読む方の中に関係者やそのご家族がおられましたら、ご不快の段は平にご容赦ください)JR社内の別の資格者が対応するだろう。しかしそのひとの別の仕事は穴が開く。こうして、北海道の大規模停電のような派手な連鎖は食い止められつつ、各地各部署の組織的対応力が少しずつ蚕食されてゆく。直接に負荷がかかっている病院は別として、それ以外でどこが小連鎖のスタート地点になるか読めない。ゲリラ戦を仕掛けられているような感覚だろうか。
阪神大震災の直後、中井久夫が「救援に来る外部の存在を市民は確信していた」といったことを書いている。神戸や西宮に、京都から、広島から、四国から消防車が駆けつけた。東日本大震災のときは西宮の消防車が南三陸に入った。ダメージを受けた地域と、そうでない地域=救援の策源地となる地域が比較的はっきりと別れていた。ところが今回はそれと異なり、全体がじわじわ弱っている。大都市がより危険だという情勢だが、その分地方部に余裕があるわけではない。
サービス業がまず直接の打撃を受けているが、次いで基幹インフラが蚕食され、それにより一次産業と二次産業の運行がガタつく。医療崩壊と並行して、こういった経済瓦解が生じるのかもしれない。
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明日からの在宅勤務のために作業机まわりの環境をつくりなおす。電源タップを新しいものに取り替え、磁石と紐で机に固定した。足元の床がかなりすっきりした。
在宅勤務用にWindows機のローカルアカウントを新しくつくる。いまのアカウントはSteamのゲームアイコンがデスクトップに散乱していて、このまま仕事をするのはさすがによろしくない。新しいアカウントでログインしたら、Chromeの同期を復活させて、Dropboxに入り直すだけで環境整備が実質的に終わった。Dropboxはアカウントごとにディレクトリを作ってしまうため、勤務用のはスマートシンクに設定する。
ルンバがLANケーブルを試食してしまうので、ケーブルを壁に這わせて養生テープで止める。フローリングの床に黄緑色の養生テープはさすがに不格好だが、さしあたりはよしとしよう。
降雨。寒い。温度計を本棚に置く。
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先行文献を洗い直してゆく。ちまちました作業だが、一度まとめておけばその後何度も使える。
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夜、同僚のTさんから回ってきた資料を読む。(昨日から「Tさん」ばかり登場している気がする。イニシャル表記するとみんなTさんだ。)