赤ずきんちゃんがおばあさんの家にたどり着くと、いつもおばあさんが使っているベッドで、猟師のおじさんが気だるそうにタバコを吹かしていました。
「おばあさんはどこ?」と赤ずきんちゃんは聞きました。
「おばあさんはいまシャワーを浴びているよ」と猟師のおじさんは答えました。
「おじさんはなぜ服を着ていないの?」と赤ずきんちゃんは聞きました。
「愛を肌で確かめあうためさ」と猟師のおじさんは答えました。
「だれの愛を?」と赤ずきんちゃんは聞きました。
猟師のおじさんが答えようとした瞬間、その顔がネギトロめいて爆発四散しました。
赤ずきんちゃんが振り向くと、おじさんの猟銃を構えた赤ずきんちゃんのママがいました。
シャワーから出てきたおばあさんの悲鳴が、二発目の銃声に破砕されました。
ママは猟銃を床に置いて、猟師のおじさんの逞しい筋肉に触れました。
「ママ、なぜ2人を殺したの?」と赤ずきんちゃんが聞きました。
「かれの答えを聞きたくなかったからよ」とママが答えました。
赤ずきんちゃんは猟銃を手に取り、弾を込め直しました。
三発目の銃声が、血の池のもとにへたりこむママの後頭部ではじけました。
「わたしは、かれの答えを聞きたかった」と赤ずきんちゃんはつぶやきました。
恋人と母と祖母を喪った赤ずきんちゃんは山を去りました。幸福な母娘と猟師を狼が食い殺したとか、狼が孫娘に化けて旅を続けているとか、狼など最初からいなかったとか、村人はいろいろ勝手に噂話をでっちあげましたが、真相はこのような話だったのです。(おしまい)