しずかなアンテナ

哲学の瓦礫片のための場所。

幻に終わった日本最初のアスファルト舗装

 一方、日本で初めてアスファルト舗装が実施された場所はどこでしょうか。それは、明治11年(1878年)に、神田昌平橋で行われた橋面舗装です。実は、この前年に東京上野公園で開幕した第一回内国勧業博覧会の会場で、日本発のアスファルト舗装を試みられていました。ときの東京府知事、由利公正は、岩倉具視を特命全権大使とした使節団の随員として、欧米のアスファルト舗装道路の実状を見聞し、その重要性と将来性を感じました。

 そこで、会場の園芸館の床に秋田産の天然アスファルトを(土瀝青)を使用し施工を試みましたが、作業員が不慣れであったため、誤って加熱中の天然アスファルトを燃え上がらせてしまいました。そのため、可燃性の材料を道路に使用するのは危険だという声が上がり、工事は中止となり日本初のアスファルト舗装は幻に終わったのでした。

(日本道路建設業協会技術政策等情報部会「道路舗装の誕生~明治時代」『道路建設』2020年9月号、69頁)

 

 

 燃えたので危険だからやめようという反応は思考が素朴・健康で面白い。当時の関係者の試行錯誤を想像する。