しずかなアンテナ

哲学の瓦礫片のための場所。

コメリの災害対策センター広報誌がおもしろい

ホームセンター「コメリ」の「災害対策センター」が年2回広報誌を発行しているのだが、この内容がおもしろい。

http://www.komeri-npo.org/about/history/other/2019/support_1901.html

 

No.23の特集は「滋賀県インタビュー 国内で26年ぶり豚コレラ」。

昨年9月に滋賀県で豚コレラが発生したとき、コメリが県との協定によって対応関連物資(ブルーシートや長靴や一輪車など、とにかく「現場」で大量に使う専門的物資あれこれ)を調達した。その際の対応について滋賀県庁の担当者と対談している。

企業発行の広報誌なので基本は自社の宣伝というか、手柄を書くものだと思うけれど、この特集では滋賀県庁の担当職員もコメリ側も反省点などを率直に語られている印象があり、読んでいておもしろい。

 

本文から少し拾っておく:

鳥インフルと似た防疫作業で、演習もしていたので初動は成功した。しかし在庫管理や検品で課題が残った。

コメリでは細かい数量は店舗側に任せた。これは現地対応がしやすく良かったが、要請した物資が届いているはずなのに現地に見当たらないといった混乱が起きた。在庫管理がきっちりできていたら、より効率的になったはず。

・県側の実際の作業者と、(資材発注等を管理する)同行者が別々だったので、作業に最適な物資を同行者が選ぶことができなかった。

・数量よりもスピードを重視したので、コメリの基幹的な流通センターからではなく、店舗から商品を卸した。しかし流通センターの方が圧倒的に在庫があるので、多少時間を要してもまとまった数を流通センターから供給したほうが良かったかも、という意見が店舗から出た。

・作業期間に必要な合計量をまとめて発注されるより、初動でまず必要な量が判明すれば、時間と数量のバランスをコメリ側で判断することができた。「合わせて1万」と言われるより、「きょう1千、明日も1千」と要請してくれたほうが手配しやすい。

・県では資材管理の問題があり、在庫がなくなる前に要請ができず、無くなってから急遽要請する運用となってしまった。

滋賀県の農場は規模が小さく、テント基地や埋却場を農場と別に設定しなければならない。農家ごとにマニュアルを個別に作っていた。だが実際にやってみると、動線や管理面で最適だったか疑問もある。

・希望の規格に対して該当する商品が多く、決められないこともあった。代表的商品をピックアップしたカタログなどがあると、製品イメージを共有しやすいかも。(対応した店舗店長は、使用シーンと使用者の性別を聞いた)

・現場となった農家への道が細く、運送業者が自主的に鉄板を引くなどの対応をしてくれたが、それがなければ難しかっただろう。

・現地運営本部に情報が集中してしまい、対応で手一杯になってしまった。

家畜伝染病予防法により、殺処分と措置の完了時間が定められていて、よけい焦ってしまう。