しずかなアンテナ

哲学の瓦礫片のための場所。

引っ越す

引っ越すことになった。というか、いま引っ越しの最中である。

溜め込んだ本や資料を詰めるとそれだけで20箱近くになり、これはトラックに積みきれませんということで後日別便を用いることになった。この5年、震災関係の本であればマケプレで片っ端から安く買い集めていたのが仇になった。本自体は安くても輸送費用で逆襲されたわけで、イソップ寓話のような話である。

引越しのトラックが来て積み込みが始まったが、業者のお兄さんに先に転居先に向かった方が良いと言われる。積み込み完了を見届けてから出発するものだと思っていたが、それだとトラックの方が先に着く可能性が高いとの由。グーグルマップで見てみよと言われてその場で確かめてみると、たしかに電車では1時間、トラックでは44分とある。そうなるとなるほどトラックは15分以上無駄に停車することになり、これは繁忙期の業者にとってゆゆしき事態であるかもしれない。それならば従うほかあるまいと思って鍵を預けて先発していま阪急神戸線に乗っているけれど、どうもお人好しなことであったような気がしてきた。

自分の引越しなのに自分以外のものにあれこれ指図左右されている。そもそもこの引越し自体も博士課程の退院といくつかの偶然によって自分の意思からやや離れて自動的に決まったところがある。大学に入院したのは自分の意志だったけれど、いま振り返るとわけのわからない運命のようなものに指図されていたような気がする。とくに二度の震災がこの運命を勝手に規定してきた。そして5年で4回引っ越している*1。その日その時間においては自由意志というものに依拠しているようでいて、長期の観点においては案外それ以外のものに従って生きている。そして引越し業者ばかり儲けさせている。いま西宮北口を過ぎました。

*1:これは勘違いで、5年で3回、9年で4回だった