しずかなアンテナ

哲学の瓦礫片のための場所。

父の上司ありがとう


 

 名古屋市に住む公務員の女性(43)は、高校3年の長男を出産した18年ほど前の出来事を今でも忘れない。

 出産を間近に控えた12月の金曜日。医師に「いつ生まれてもおかしくない」と説明を受け、出産準備を始めた。その夜、夫(45)は忘年会。状況を伝えようと1次会が終わった頃に電話をかけた。電話からはカラオケにいるような騒がしい音が聞こえてきた。

 女性「早く帰ってきてほしい」

 夫「忘年会だし、上司がいるから無理」

 女性「生まれるって言っているでしょ!」

 電話は一方的に切られ、そのま…(以後有料記事)

 

 この記事を読んで思い出したことがある。

 わたしの父は、わたしが生まれる日、出勤したもののソワソワソワソワしてまるで仕事が手につかなかったそうだ。見かねた上司が「高原君、今日はもう帰ってええで。奥さんのとこ行ったり(行ってあげなさい)」と父に早退を命じ、父は産院へ走ったという。そしてわたしが生まれた(父が産院に着いたのが出産の前なのか後なのかは知らない)。

 この記事のご夫婦も、このような上司だったなら結末はちょっと違っていたかもしれない。わたし自身は顔も名前もまったく知らないひとだけれど、帰ってええでと父に行ってくれてありがとうございました。

 とりあえずそんだけの話でした。