しずかなアンテナ

哲学の瓦礫片のための場所。

2019-03-01から1ヶ月間の記事一覧

「迷惑な空襲」/『この世界の片隅に』を見ながら

おばあちゃんに一度だけ空襲のことを聞いたことがある。聞いたといってもそう詳しい話をされたのではなく、いったいなぜその話題になったのかもよく覚えていないのだけれど、「火なんかすごい熱くて、ガラスも溶けてね」と言った。そして「もうあんな迷惑な…

記憶の丸み: 西川祐子『古都の占領』(2017)

以前お世話になっていた先生に今の自分の研究(災害の記憶に関すること)を話したとき紹介された本を読み始めている。 古都の占領: 生活史からみる京都 1945‐1952 作者: 西川祐子 出版社/メーカー: 平凡社 発売日: 2017/08/28 メディア: 単行本 この商品を含…

支援と「別世界感」(『セックスワーク・スタディーズ』)

セックスワーク・スタディーズ 作者: SWASH 出版社/メーカー: 日本評論社 発売日: 2018/09/26 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 指導教員が勧めていたので読んでみた。あ、これは読んでおいてよかったなと思った。同じテーマにくくることはでき…

無かったことにはならぬであろうか。全てのことが霧消し、元通りにならないだろうか。図書館の古い本棚の裏の壁を手で探っていると錆びついた取っ手にゆきあたり、それをゆっくり回すと異次元の歯車が逆回転しはじめ、時間がすべて巻き戻り、その間に起きた…

石榴を食べる

おばあちゃんに会いに行った。虫眼鏡を盗られた、ハンコを盗られた、としきりに訴える。盗られないように大事に隠すのだという。しかし隠したことを忘れてしまう。見つからない。おじいちゃんが使っていた大事な虫眼鏡なのに。なぜ無いんだろう。あんな大き…

引っ越す

引っ越すことになった。というか、いま引っ越しの最中である。 溜め込んだ本や資料を詰めるとそれだけで20箱近くになり、これはトラックに積みきれませんということで後日別便を用いることになった。この5年、震災関係の本であればマケプレで片っ端から安く…