しずかなアンテナ

哲学の瓦礫片のための場所。

俺よりウザいやつに説教されないように説教してやる

俺がいまおまえにウザい説教をするのは、世の中には俺よりもさらにウザい説教をするやつがいるからで、おまえが今後世の中に出てそういうやつに出会ったときに説教されないように、いまあえて俺が説教するんだ、という論理で説教をするひとが一定割合いるのだが、出会いが予定されている「さらにウザい説教をするやつ」もやはり「俺がいまおまえにウザい説教をするのは、世の中には俺よりさらに…」という論理で説教を正当化するので、この「説教チェーン」に連なる全員が一斉に説教をやめればチェーンそのものが消失するはずなのだ。

 

このチェーンを順にたどっていけば最後には最強のウザさを誇るチェーンの最終端、あらゆる説教の始祖始原の存在に出会えるかもしれない。アリストテレスの「不動の動者」みたいな。自己の存在理由を他に頼らない、真の実体としての説教屋。あらゆるウザさの根源、アルファにしてオメガ、「いままで説教を受けてきたのはあなたに出会うためだったのか…」と身を震わすような。出会いたくはない。