しずかなアンテナ

哲学の瓦礫片を毎日1000字くらいで書く。

ワシの考える理想の『赤ずきん』

赤ずきんちゃんがおばあさんの家にたどり着くと、いつもおばあさんが使っているベッドで、猟師のおじさんが気だるそうにタバコを吹かしていました。

 

「おばあさんはどこ?」と赤ずきんちゃんは聞きました。

「おばあさんはいまシャワーを浴びているよ」と猟師のおじさんは答えました。

「おじさんはなぜ服を着ていないの?」と赤ずきんちゃんは聞きました。

「愛を肌で確かめあうためさ」と猟師のおじさんは答えました。

「だれの愛を?」と赤ずきんちゃんは聞きました。

 

猟師のおじさんが答えようとした瞬間、その顔がネギトロめいて爆発四散しました。

赤ずきんちゃんが振り向くと、おじさんの猟銃を構えた赤ずきんちゃんのママがいました。

シャワーから出てきたおばあさんの悲鳴が、二発目の銃声に破砕されました。

ママは猟銃を床に置いて、猟師のおじさんの逞しい筋肉に触れました。

 

「ママ、なぜ2人を殺したの?」と赤ずきんちゃんが聞きました。

「かれの答えを聞きたくなかったからよ」とママが答えました。

 

赤ずきんちゃんは猟銃を手に取り、弾を込め直しました。

三発目の銃声が、血の池のもとにへたりこむママの後頭部ではじけました。

「わたしは、かれの答えを聞きたかった」と赤ずきんちゃんはつぶやきました。

 

恋人と母と祖母を喪った赤ずきんちゃんは山を去りました。幸福な母娘と猟師を狼が食い殺したとか、狼が孫娘に化けて旅を続けているとか、狼など最初からいなかったとか、村人はいろいろ勝手に噂話をでっちあげましたが、真相はこのような話だったのです。(おしまい)