「超音波法案」についてのケンタッキー州知事のコメント

ケンタッキー州で「中絶手術を受ける前に胎児の超音波画像と心音を妊婦に聞かせることを義務付ける法案」が今年1月に成立した。現在、反対する団体が裁判所に仮差し止めを申し立て、それが認められている。

 

 

 

 

 この法案について、ケンタッキー州知事のMatt Bevin氏が短いコメントを書いている。

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 上記エントリはさいきんのケンタッキー州議会の成果(成立した法案)を喧伝するもので、要するに知事の俺スゴイという話にすぎないのだけれど、そうした成果の一つとしてこの「超音波法案」も一段落だけ言及されていた。

 

Pro-life laws were created that more accurately reflect the values of our voters. Kentucky is overwhelmingly a pro-life state. Huge bipartisan support for the twenty-week abortion ban and the ultrasound bill reflect that. We also moved Planned Parenthood, the nation’s number one abortion provider, to the back of the line for federal funds.

有権者の価値観をより正確に反映した中絶反対法が創られた。ケンタッキー州は中絶反対派が圧倒的に多い州だ。多数の超党派議員が20週〔以降の?〕中絶の禁止に賛成しており、超音波法案はそれを反映したものだ。さらにわたしたちは、州内で第一の中絶処置団体であるプランド・ペアレントフットを、連邦資金の列の最後尾に並ばせた。

 

 法律が「創造されたcreated」という言い回しはよくあるものなのかどうか知らないけれど、ここではキリスト教の文脈を意識しているのだろう。また、妊娠中絶をめぐる米国内の論争は、「中絶反対派 pro-life ≒共和党」vs 「中絶容認派 pro-choice ≒ 民主党」という図式が前提になっているけれど、ケンタッキー州では超党派でこの超音波法案を通過させたのだぜということを強調している。

 

 最後の一文は意味がいまひとつわからなかった。プランド・ペアレントフットは中絶を推進する米国内のNPOである。NPOなので資金助成を探さなければならないが、州ではなく連邦の資金を申請するようにさせた、ということだろうか。

 go to the back of the lineという言い回しをオバマ前大統領が過去に演説で用いたらしい。このときは「市民権が欲しかったら、ちゃんと列の最後尾に行かなきゃだめだ」といったニュアンスで、市民権獲得のための手続きを正当に進めているひとがいるのだから、あなたもちゃんとそうしてください、という話だったらしい。要するに、列に割り込んじゃだめだよ、ちゃんと並んでね、ということらしい。

 Matt Bevinのmove to the back of the line for federal fundsという言い回しは、もしかしたらオバマのこの表現を意趣返しとして借りたものかもしれない(一般的に使われる表現にすぎないのかもしれないけれど)。オバマはpro-choice派で、プランド・ペアレントフットを支持する演説もしている。そのオバマの言い回しを敢えて用いて、「団体運営の資金が必要だろ、ほら連邦政府の助成窓口の長蛇の列にちゃんと並べよ」と言っているわけで、この解釈が正しいとすれば、かなり意地悪な表現だということになる。

 超音波法が成立することと、プランド・ペアレントフットが連邦政府の資金を求めることとの関係がいまひとつわからない。中絶を行う団体への助成を禁止する条文が超音波法に組み込まれているのだろうか。あるいは、訴訟費用とか、超音波画像のための機器購入の費用がかかるでしょ、ということだろうか。