しずかなアンテナ

哲学の瓦礫片のための場所。

窓枠

 実家で寝転んで窓から空を見ている。大阪や京都に比べると、神戸はわりと空が近い印象がある。雲の「きめ」がはっきりと見える。寒波の気流に引き込まれてゆく雲の動きに連動して、たまに部屋がふっと暗くなって、また明るくなる。東へ東へ移動してゆく。窓枠の上から現れて下へ消えてゆく。大阪朝高の窓枠集めはどうなったやろとぽつんと思う。

  光を浴びているだけで、何もしていない。じぶんは案外植物であったとおもった。ただ浴びている。明るさを受け取らされている。そうかじぶんも植物だと考えて、どこか誇らしく感じる。しかし体内に葉緑体を持っていない。光合成はしていない。本物の植物と同じ位置にはいないので、謙虚であらねばと考え直す。身の程を知った。ちょっと寝返りをする。水を吸う根っこも無い。眼が乾いたのか、眼球表面にじわっと涙の層が供給された。

 めを閉じる。依然としてまぶたを透かして光がやってくる。まぶたの意味ない。それは薄い。いちばん薄い部分は0.06mmだそうだ。だがサガミオリジナルはその1/3で、すごいなあと思う。謙虚であらねば。