しずかなアンテナ

哲学の瓦礫片のための場所。

災害を待つ

生まれて初めて、災害を待っている。 「人と防災未来センター」という不思議な名前の研究所に勤めはじめた。 ふだんは研究をしている。しかし大地震、津波、またその他水害などが起きると現地支援にゆく。日本中どこでも、基準を超える震度であれば、緊急参…

ゲーム・オブ・スローンズ Season1の個人的に好きなシーン10選

GoT・Season8が完結する。その復習としてS1から順に観なおしている。 というわけで、あえてSeason1で好きなシーンを挙げてみたい。 1.ジョンの初体験未遂を聞くワクワクサム(S1-E4) この笑顔である 中学生か君は ナイツウォッチ見習いになった庶子ジョン…

カール・レフラー考

さる伝統ある大学の名誉も実績もある教授が、自分の論文に、存在しない神学者の存在しない論文を「引用」した。ということがバレて、クビになった。本も絶版となった。 研究活動上の不正行為に関する調査結果について|東洋英和女学院大学 いったいこの事件…

穏やかな夜に身を任せるな。

いまの職場に入ってから、東日本大震災の映像を見る機会がすこし増えている。 当たり前だけれど、映像の「キツさ」には独特のものがある。阪神大震災の映像はテレビ局によるものがほとんどで、ある種の「落ち着き」がある。プロのカメラマンが肩にカメラをど…

いま読んでいるもの:金井淑子『倫理学とフェミニズム』(2013)

いつのまにか本棚に入っていた本を読んでいる。一節だけメモする。 倫理学とフェミニズム―ジェンダー、身体、他者をめぐるジレンマ 作者: 金井淑子 出版社/メーカー: ナカニシヤ出版 発売日: 2013/06 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る 私…

参照したいと思った論文の著書が逮捕されていた

研究計画を新しく立てて、先行文献をざくざく読んでいる。 これはなんだか参考になるようだ、という論文を見つけた。しかも著者は地元のひとだった。迷惑承知で、会いに行ってお話を伺ってみようかとさえ思った。テンションが上がる。 コンスタントに論文を…

「業者」とかいう謎の組織

日本に住み初めて、かれこれ30年以上になる。 日常会話についてはそれなりに慣れてきたつもりだし、日本語で書かれた本もそのまま読むことができる。ブログもこうやって日本語で書いてみている。それでも、なんなんだこれは、と不思議に感じる日本語に出会…

そういうことじゃないんです

阪急電車に乗っていたとき、80歳代ほどのおばあさんが杖をつきながらヨコヨコとホームから車内に入った。わたしをふくめて、座席に座っているひとの大半が即座に彼女の歩みを捉え、追った。おばあさんはドアから1メートル半ぐらい離れたところに空席を見つけ…

「先生方」という言い方が嫌いだった。

「先生方」という言い回しが、なんとも言えず嫌だった。いまもぞっとする。同系統の表現に「先輩方」「皇族方」がある。これもひどくイヤである。阪大に来て、実質的に初めてこの表現を聞いた。その前にいた大谷大学では一度も聞かなかった。阪大でも自分が…

あなたイズだれ、とりわけ女

阪神電車の窓にサプリ薬品の広告が貼り付けられている。薬剤のプラスチック製の容器はやや控えめに映し出され、それよりもこちらを向く若い女性の顔が大きく配置されている。有名な女優さんやモデルさんなのか、無名の方なのかわたしは知らないけれど、すっ…

休日について

日曜日に学会に行っていた。京都駅のまわりは人がとても多かった。朝から夕方まで主に哲学対話の話を聞いていた。そしてその振替休日を、きょう取った。 休みの日だな、という感覚をじんわり感じている。久しぶりなのか、初めてなのかわからない。 とくにこ…

ふみふみこさんの同世代感がはんぱない

ふみふみこさんの漫画が好きで、たまにぽちぽちと買って読んでいる。 どこらへんが好きなのか。ひとつは使われていることばが不思議とやわらかいこと。シュークリームの皮みたいなかんじ。それから、線がやわらかいこと。線もことばも、狙って「やわらかく」…

科研神社を建てよう

日本全国の研究者が参拝する「科研神社」を設立することをかんがえている。 たぶん菅原道真とかを祀る。 科研神社は、科研費その他競争的資金に応募する研究者や院生をひろく受け入れる。不採択が続いたときのお祓い、採択祈願の祈祷、おみくじの販売等をお…

意識と快苦

欲しいものが手に入らなかったり、愛するひとと別れなければならなかったり、憎いやつに会わなければならないとき、苦痛の感情を覚える。もっと単純に、暑かったりひもじかったり、ケガや病気で痛みを覚えるとき、苦痛の感情を覚える。反対に、身体の欲を満…

月給というもの

月給の額が決まりました、とA4の紙をいただいた。 恥ずかしながら、この年になって初めて月給というものを受け取ることになった。なんだかむず痒いかんじがある。 紙にはX級YY号給、Z万Z千円と記されている。 なぜX級YY号給なのかはわからない。たぶん聞けば…

家と家族: ゲーム・オブ・スローンズSeason7におけるLF誅殺

エントリ名自体がネタバレになってしまって申し訳ない。以下の内容は、Season7を未視聴の方にとってはストレートなネタバレになっている。 「ゲーム・オブ・スローンズ Season7の個人的に好きなシーン」というエントリを書こうとしていたのだけれど、それよ…

わたしはいつ「かめはめ波」を出すことをやめたか

この問いはかなりはっきりと答えを出すことができて、自分の場合、小学2年生のどこかである。 なぜ2年生と断言できるかというと、この学年のときに引っ越したのだけれど、後述の「かめはめ波打ち切り」を意識したのが引っ越し先の新居のトイレの中でのこと…

時間が飛ぶ

いろいろあって、働き始めている。 職場では会議やいろんな新しいお仕事や研究計画やらがわーっと降りてくる。メールと名刺がゆきかう。そして時間がまたたくまにすぎてゆく。ほんとうに、何度かまぶたをまたたいている間に、というかんじ。 朝8時すぎに駅の…

「迷惑な空襲」/『この世界の片隅に』を見ながら

おばあちゃんに一度だけ空襲のことを聞いたことがある。聞いたといってもそう詳しい話をされたのではなく、いったいなぜその話題になったのかもよく覚えていないのだけれど、「火なんかすごい熱くて、ガラスも溶けてね」と言った。そして「もうあんな迷惑な…

記憶の丸み: 西川祐子『古都の占領』(2017)

以前お世話になっていた先生に今の自分の研究(災害の記憶に関すること)を話したとき紹介された本を読み始めている。 古都の占領: 生活史からみる京都 1945‐1952 作者: 西川祐子 出版社/メーカー: 平凡社 発売日: 2017/08/28 メディア: 単行本 この商品を含…

支援と「別世界感」(『セックスワーク・スタディーズ』)

セックスワーク・スタディーズ 作者: SWASH 出版社/メーカー: 日本評論社 発売日: 2018/09/26 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 指導教員が勧めていたので読んでみた。あ、これは読んでおいてよかったなと思った。同じテーマにくくることはでき…

無かったことにはならぬであろうか。全てのことが霧消し、元通りにならないだろうか。図書館の古い本棚の裏の壁を手で探っていると錆びついた取っ手にゆきあたり、それをゆっくり回すと異次元の歯車が逆回転しはじめ、時間がすべて巻き戻り、その間に起きた…

石榴を食べる

おばあちゃんに会いに行った。虫眼鏡を盗られた、ハンコを盗られた、としきりに訴える。盗られないように大事に隠すのだという。しかし隠したことを忘れてしまう。見つからない。おじいちゃんが使っていた大事な虫眼鏡なのに。なぜ無いんだろう。あんな大き…

引っ越す

引っ越すことになった。というか、いま引っ越しの最中である。 溜め込んだ本や資料を詰めるとそれだけで20箱近くになり、これはトラックに積みきれませんということで後日別便を用いることになった。この5年、震災関係の本であればマケプレで片っ端から安く…

大学に5年いて腹がたったこと

博士前期・後期課程で計5年間、大阪大学にいた。 大学で過ごしていてとても腹がたったことが2度あった。 とくに面白い話ではないけれど、そのうちの1つを、大学を出る前にここに書いておくことにする。 それは豊中キャンパスのドンドンという今はなくなっ…

臨床哲学と「方法」

臨床哲学に固有の方法はあるのかと問われることがある。これはおろそかにできない問いだけれど、これまで自分はうまく答えることができなかった。いま完全な答えを出すのではないけれど、その手がかりを考えてみようとおもう。 なおここで言う臨床哲学は、さ…

からだが触る

今はもう昔のことになってしまったけれど、学部生のとき、全盲の学生と共に授業に出て板書内容をノートPCに打ち込んでゆくという有償ボランティアをしたことがあった。授業後、その学生が白杖で足元を探りながら教壇上の老教授のもとに近づいた。そのとき、…

豚肉の塩漬けをつくる

豚の塩漬けをつくった。 以下のサイトの工程を完全にコピーした。そしたらできた。 2月5日。まず最初に岩塩をすりこんだ状態。ここから冷蔵庫へ。 2月8日。3日経ったのでいちど水洗いして塩を抜く。(写真は水洗いする直前) 全体的に少し縮んでいるが、まだ…

長生きケレンスキー

ケレンスキーというひとはロシア革命後に政権を担い、その後レーニンに負けて亡命した。ボリシェヴィキからの視点ではかれはここで表舞台から退場するのでその後の消息をわたしは考えたことがなかったのだけれど、先日Wikipediaを見ていたら1970年まで存命だ…

五つ玉のそろばん

おばあちゃんの部屋を整理していたら、すごいものが出てきた。 大きな算盤。玉が下側に5つ付いている。自分が小学校で習ったのは4つバージョンだった。子どものころにも同じ算盤を手にとった記憶がある。 裏の書き込みを見てびっくりする。 「明治四十年十…